【社長のマンガ】健康企業「タニタ」 谷田千里社長の愛読マンガ3作
私たちの生活を支えるあらゆる産業を担う企業の社長に、好きなマンガについて語っていただく「社長のマンガ」。そのマンガを選んだ理由から、人生と仕事に対する熱い思いが浮かび上がってきます。
ビジネスにおける自由な発想のヒントに

タニタ食堂など健康に寄り添った事業を展開している、東京都板橋区の企業、株式会社タニタ。代表取締役社長を務める谷田千里さんは、ゲーム好きとして知られ格闘ゲーマーに愛用されるアーケードコントローラーを会社を上げて作ってしまうほど。そんな谷田社長は、どんなマンガを読んできたのでしょうか。
ーー好きな漫画作品を3つお教えください。
『逃げるは恥だが役に立つ』(海野つなみ/講談社)と『ボクを包む月の光』(日渡早紀/白泉社)、『ポーション頼みで生き延びます!」(原作:FUNA、漫画:九重ヒビキ、キャラクター原案:すきま/講談社)の3作品です。
ーー3作品それぞれ好きな理由やポイントをお聞かせください。
『逃げるは恥だが役に立つ』は、結婚を軸に、さまざまな価値観を持つ登場人物たちの人間模様が描かれる作品。ワークライフバランスについて考えていた時期だったこともあり、結婚を雇用契約とする設定に衝撃を受けました。
一般に、物事の見方や捉え方は、ともすれば画一的になりがちです。しかしこの物語では、一つひとつの事柄に対し、慣例や固定観念にとらわれない、多様な視点が語られます。劇中では、主人公のみくりが「高校生で出産するという」案を披露していますが、時には法律や常識にとらわれず、みんなが幸せになる方法を考えることの重要性に気づかされます。
この自由な発想は、ビジネスの目線で見ても示唆に富んでいて、参考になります。
『ボクを包む月の光』は、SF漫画の金字塔である『ボクの地球を守って』の続編。おそらく、転生ものの元祖ではないでしょうか。映画のようにスケールの大きな物語が展開する極上のエンターテインメントで、前作からのファンです。
私にとっては全編にわたってすべてが見どころで、ただただ面白いです。とくに、クライマックスへ向けて前作の伏線が回収され、主人公たちの思いが昇華されていく展開は圧巻です。
なろう系定番の異世界転生もの『ポーション頼みで生き延びます!』ですが、ユニークなのは主人公のカオルが得るチート能力が、剣でも魔法の力でもなく、「思った通りの効果のある薬品を(容器も含めて)自由に生み出す能力」であること。どんな薬でもつくれるわけですから、これはこれですごい能力なのですが、見どころはこの力を効果的に活用していくカオルの知略と話術です。むしろこちらの才能の方がチートと思えるほど。
異世界で生きていくために必要な能力=リソースを適確に見定め、巧みな話術と知略で王族や司教を手玉に取りながら思い通りにことを運ぶ様は、さながらビジネス漫画のようです。