『はたらく細胞』実写化でファン提言 「BLACKの方が向いてる」
実写化のニュースが話題になっている『はたらく細胞』は、人体の内部が舞台の細胞擬人化アニメです。キャストは、演出は、CGはどうするのか……とネットがざわつくなか、一部からは「『はたらく細胞BLACK』のほうが実写化向きなのでは?」との声も寄せられています。そんな、現代社会で働く私たちが共感できるポイントが多い、『はたらく細胞BLACK』について紹介します。
実写化向きなのはどっち……!?
2023年2月16日に「NEWSポストセブン」の記事によって、『はたらく細胞』の「実写化」の報道が話題になった後、3月20日に配給のワーナー ブラザース ジャパン合同会社によって公式に実写映画化が発表され、監督&脚本を『翔んで埼玉』コンビの武内英樹氏と徳永友一氏が務めることも、明らかになりました。
一連のニュースで混乱に陥るファンが多いなか、一部から飛び出た「『はたらく細胞BLACK』のほうが実写化向きだろ」というツッコミが注目されています。なぜ本家を差し置いて、スピンオフである『はたらく細胞BLACK』のほうが実写化向きと言われるのでしょうか。
『はたらく細胞BLACK』は不健康な成人男性の体内を「ブラック企業」、そこで働く細胞たちを「サラリーマン」に見立てて描かれています。上司からの無茶振りや、いくらこなしても減らない仕事など、現代社会で働く人なら思わずうなずきたくなる、共感ポイントが数多く存在しているのです。
分かりやすいのが、同作の序盤のシーンです。体内で働き始める赤血球たちへのオリエンテーションがおこなわれているところで、ある赤血球が「時間外労働はどれくらいですか?」と質問を投げます。するとスーツを着た男性が「働き方改革で、極力残業は減らします」と答えるのですが、いざ働き始めると「厳しいノルマ」「休暇が取りづらい雰囲気」が存在する、最悪の職場環境が待っているのでした。
また登場するキャラクターも、とても「リアルにいそう」な設定であることもポイントです。勤務初日の新人に対して、「現場に出たら新人もベテランもない!」と叱責する他部署の社員(胃の主細胞)や、クレームを受けた際にうまくかばってくれたり、仕事のいろはを教えてくれたりする同じ部署の優しい先輩(赤血球)、反対に「新人を甘やかすな」という厳しい先輩(同じく赤血球)など、個性豊かな細胞たちがそれぞれの仕事を全うしています。
「自分の職場にも似たような人がいるな」と、つい「あるある」を言いたくなってしまう人間模様で、「現代の写し鏡」のような世界観。嫌なことを思い出して、思わず目をそむけたくなるのに、つい見てしまう危険な作品です……。
同作では他に、劣悪な環境で働く細胞たちの「生の声」を聞くこともできます。「人が足りない」「昔はこんな風じゃなかった」「休みたい、楽したいという感情は殺すんだ」といった胸が痛むようなセリフも散見されますが、そうした環境のなかでも、主人公(赤血球)は自分なりの働き方や、やりがいを見つけていくのです。これは、新卒が過酷な環境に揉まれながらも、なんとか強い社会人になっていく、といういろんな職場で見られる風景とも重なります。
本家『はたらく細胞』も赤血球の女の子が頑張って働く物語ですが、こちらはある程度健康な人の身体で働いている設定です。そのせいで、『BLACK』の主人公の悲惨さがより際立ってしまいます。
もちろん、「体内の様子を実写化する」という映像化の難しさは同じなのですが、SNSでは「実写化するなら『BLACK』のほうが、内容がリアルで面白そう」「『BLACK』を実写化したほうが、生活習慣を見直すきっかけにもなるんじゃない?」「『BLACK』の体内環境は、現代人の多数派の体内に当てはまると思う」「深夜ドラマで見てみたい」といった意見が出ています。
ただ『はたらく細胞BLACK』は、「モーニング」で連載されていた、青年向けの作品です。飲酒・喫煙などによる不摂生がもたらす病気を中心に取り上げているため、家族で楽しく見る作品にはなりづらいかもしれません。そういった点で、本家『はたらく細胞』に白羽の矢が立った可能性もありますね。
とはいえ、似たような体験をしたことがある社会人にとっては、感情移入しやすいのは『はたらく細胞BLACK』の方でしょう。今回は本家に譲りましたが、実写映画『はたらく細胞』の成績次第では、次に『BLACK』が実写化される可能性もあるかもしれません。
(LUIS FIELD)