『巨人の星』一徹の「ちゃぶ台返し」 実は「そんなにやってない」 放送は1回だけ?
昭和親父の代名詞『巨人の星』の星一徹が繰り出す「ちゃぶ台返し」は、今でも怒ったお父さんの鉄板ネタとしておなじみのシーンですが、アニメではたった1回しか放送されていませんでした。放送された内容は、まさしく「ちゃぶ台返し」がふさわしいストーリー展開でした。「ちゃぶ台返し」が鉄板ネタになった真相とは……?
「ちゃぶ台返し」誕生の瞬間は家族団らんのシーンから
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昭和時代を代表する父親像といえば、『巨人の星』に登場する星飛雄馬の父・星一徹が思い出されます。頑固で真っ直ぐな性格の一徹は、あふれんばかりの熱い気持ちの持ち主で、伝家の宝刀「ちゃぶ台返し」を繰り出して飛雄馬にビンタをお見舞い……というシーンをイメージする方も多いでしょう。
さぞかし毎日のように丸いちゃぶ台をひっくり返し、飛雄馬の姉・明子を泣かしているのだろうと思いきや、なんと作中では1回しか「ちゃぶ台返し」を披露していませんでした。ではなぜ星一徹には「ちゃぶ台返し」のイメージが強いのでしょうか。
スポ根野球マンガの先駆けとなった『巨人の星』のアニメは1968年から全182話が放送され、人気を博しました。実際に「ちゃぶ台返し」が繰り出された回数を数えてみようとアニメを見始めると、問題のシーンがやってきたのは番組開始早々のタイミングでした。
アニメ第2話「悪魔のギブス」で、幼い飛雄馬に「大リーグボール養成ギブス」と呼ばれる強力なバネの付いた特訓器具を装着させる一徹が描かれます。ギブスのことは親子の秘密と約束したため、器具を付けたままの生活を誰にも言えない苦しさを覚える飛雄馬。ついには友人にギブスを付けていることがバレてしまいますが、父親にはそのことを黙っていました。
しかし一徹を相手にウソは長続きせず、事態は急転。家族でにこやかに食事をしている最中に飛雄馬の友人・赤川が訪れ、「昨日飛雄馬君に付けられた変なギブスで肘と肩痛めちゃってぇ~その治療費貰えないかなぁ~と」と余計なひと言を発します。
すると笑顔で食事をしていた一徹の表情は一変。食事が置かれたちゃぶ台を見事にひっくり返しながら「飛雄馬 このウソつき!」と左手でビンタを放ちます。耐えかねた飛雄馬は家を飛び出し、明子は泣き出す始末。一家団らんから急転直下の展開で、「ちゃぶ台返し」が披露されたのでした。