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誕生30年の『電光超人グリッドマン』 当時は「早すぎた名作」 時代が追いつき高評価に?

2023年3月24日公開のアニメ映画『グリッドマン ユニバース』の原作である特撮ヒーロー番組『グリッドマン』には、時代に先駆けた試みがいくつか成されていました。当時、早すぎたと言われた部分を振り返ってみましょう。

巨大ヒーローに変革をもたらした設定

『電光超人グリッドマン』DVD7巻(東映)
『電光超人グリッドマン』DVD7巻(東映)

 2023年3月24日公開予定の『グリッドマン ユニバース』は、2018年に放送したTVアニメ『SSSS.GRIDMAN』と、2021年に放送された『SSSS.DYNAZENON』の主要メンバーがクロスオーバーした劇場用完全新作アニメです。この2作品の原典ともいえるのが、1993年4月3日から放映開始した特撮ヒーロー番組『電光超人グリッドマン』でした。つまり今年で『グリッドマン』放送30周年ということになります。

『グリッドマン』は、『ウルトラマン』で有名な「円谷プロダクション」が製作しました。しかし、もとになった企画はスポンサーである玩具会社の「タカラ(現在のタカラトミー)」のものです。『電脳警察サイバーコップ』(1988年)に続く実写特撮ヒーロー第2弾として企画されたのが、最初期の企画案でした。

 そして製作会社を決める時、この作品は「特撮巨大ヒーローもの」として製作したいという意見から、巨大ヒーロー作品に実績があった円谷プロへと製作依頼することになります。

 こういった経緯から本作『グリッドマン』は、それまでの特撮巨大ヒーローものにはなかった試みがいくつか加えられていました。そのひとつがヒーローの外見的なパワーアップです。3体のサポートウェポンと合体して誕生する「合体電神ゴッドゼノン」と、超神合体した形態「合体超神サンダーグリッドマン」。ドラゴンフォートレスが変形した「合体超竜ダイナドラゴン」と、竜帝合体した形態「合体竜帝キンググリッドマン」の2形態です。

 これはアニメ玩具的な発想で、おおもとは『聖闘士星矢』の聖衣、同時期の「勇者シリーズ」や「戦隊シリーズ」のグレート合体と呼ばれるシステムに近いものでした。この聖衣と同じく装着するのは人間体、勇者や戦隊と同じく装甲部分が合体前にも活躍できる形態に変形という2つのシステムを組み合わせたのが本作のセールスポイントというわけです。

 この玩具会社ならではの発想が、『グリッドマン』に独自性を与えました。この発想が発展し、ヒーローが状況に合わせてタイプチェンジする『ウルトラマンティガ』(1996年)につながったとも言われています。

 後の関係者の話によると、本作品での経験が『平成ウルトラシリーズ』などで活かされたという声が多くありました。なぜなら円谷プロは10年以上もTV特撮シリーズから遠ざかっていたのです。技術の伝承といった面から考えても、本作が『ウルトラシリーズ』をつなげたといっても過言ではないでしょう。

 また本作最大の特徴が、戦う場所が現実世界でなく、電脳空間「コンピュータ・ワールド」という点です。これが独特の世界観を生み出しました。これにはミニチュアなど、巨大ヒーロー特撮番組特有の制作費を軽減する意図もあったそうです。

「予算があまりなかった」という事情は、初期13体の怪獣の着ぐるみを改造して使い回すなどといったことからも明確でした。しかし、こういった部分を逆に作品の個性としてしまう点が評価できるところです。

 そのため人気も上々で続編も考えられていましたが、ほかにも抱えたいくつかの問題もあって作品は3クール39話で放送終了となりました。この後、『グリッドマン傑作選』という再放送を行っていますが、一部のエピソードは本放送よりも視聴率が高かったといいますから、その人気は衰えたわけではありません。惜しまれつつの終了でした。

【画像】かっこ良すぎ! ゴッドゼノンら合体ヒーローたち(6枚)

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