連載再開が楽しみな『ルリドラゴン』 日常の「優しさ」に満ちた物語にハマる
「週刊少年ジャンプ」で連載中の『ルリドラゴン』(作・眞藤雅興)は、「朝起きたらツノが生えた」少女の、意外な出自が明かされるところから始まります。キャラクターのかわいらしさ、ストーリーの面白さ……魅力をあげればキリがないほど、第1話から読むものを引き込む同作の今後が気になって仕方ありません。
ファンタジー? 現実? 不思議な世界観
「一体なんだこの作品は」
今作第1話を読んだ後の、筆者の最初の感想がこれでした。主人公・青木ルリ(瑠璃)は何の変哲もない女子高生ライフを送っていたはずが、朝起きたら頭に2本のツノが生えていました。それを見た母親は、驚きのカミングアウトをしたのです。
「あんた人と龍とのハーフなのよ」。
このカミングアウトの瞬間、「なるほどこの作品は現代風なファンタジーで、異種族が当たり前に存在するのか」と、ファンタジー好きな筆者は一気に引き込まれました。しかし、その後ストーリーを読み進めると、この世界でもそういう異種族は一般的ではなさそうです。
頭に角が生えたまま、ルリは普通に学校へ通います。このゆるさもまた、「一体このあとどうなるの」と読み手の関心を誘うわけです。
ルリは当然、クラス中の注目の的に。彼らの視線に戸惑うルリは、授業中に火を吹くというこれまたドラゴンめいた変化を見せ、周囲を驚かせます。ルリは急激な変化に耐えきれず、ノドが焼けて大けがを負いますが、龍由来(?)の回復力ですぐに完治。その後、母親と一緒に火を吹く練習を始めます。
独特のゆるさをまとった『ルリドラゴン』は、すごく安心して読める日常系作品だなと、第1話を読んだ筆者は感じました。しかし、それ以降のストーリーを読み進めると、異質なモノとの交流や、人間関係のちょっと複雑な問題にも触れていて、「ただの日常系ではない」と思わせる描写が増えていきます。
彼女の事情を知るクラス担任の先生が、ホームルームで話す言葉がこの作品のテーマを端的に表しているのかなと思います。
「まあ普通の人間社会でもよくあることです。
普通とは違う特性を持った人がいることなんて。
火吐いたくらい気にすることはないよ
世の中色んな人がいるもんです。
みんなも色々思うところあるかもしれませんが
まあ仲良くやっていきましょう」
ルリを見守る大人の立場としての言葉を投げかける先生に対して、子どもたちは自分なりに、ルリとの接し方を探っていきます。ルリと今までと変わらず接してくれる子もいれば、面白がる子もいるし、興味津々な子もいるし、彼女を怖がる子もいる。
ルリもまた、すぐに相手に苦手意識を抱くクセを改めて、彼女たちの優しさに甘えたり、彼女への恐怖を受け入れたりします。10代なりにいろいろと考え、彼女と接するキャラクターたちを見ていて、他者との関係づくりの理想を、とても優しく描いている作品だと感じました。
今、『ルリドラゴン』は作者の眞藤先生の体調不良により休載が続いていますが、作品公式Twitterで「復帰に向けて少しずつ進んでいる」との投稿もありました。『ルリドラゴン』のキャラクターたちの優しさにならい、この物語の続きを読めることを、ゆっくりふんわり楽しみたいと思います。
(サトートモロー)