【グルメマンガのすすめ】「異世界」に進出した人気3作品 読むと元気が出るその魅力とは
今や、さまざまな方向性に細分化され、一大ジャンルとして確立している「グルメマンガ」。今回はそのなかから、「異世界から見る日常グルメ」を描いた傑作3作品をピックアップし、その魅力や楽しみどころを解説します。
おなじみ居酒屋メニューや洋食に、「異世界」住民が驚愕
すでに一大ジャンルとなり、内容も多様化している「グルメマンガ」は、料理研究家や栄養士が監修についているものも多く、「もうこれレシピ本では?」という作品も数多く出版されています。一方、「小説家になろう」などの投稿サイトがきっかけで爆発的人気となった「異世界転移」「異世界転生」ものも、毎クールのTVアニメで観ない期はないほど浸透しています。
この2つを掛け合わせた「異世界から見る日常グルメ」を描いた作品が、いま多くの読者に支持されているのです。それらは、珍しい料理やプロのワザが詰まった特別な料理ではなく、誰でも一度は食べたことがある、なじみ深くシンプルな料理が多数登場します。こう言うと、「そんな見慣れた料理を見て何が楽しいのか」と思うかもしれません。
しかし、日本人にとってはおなじみでも、異世界の住人にとっては「見たこともない珍しい料理」なのです。そして、このおなじみグルメが異世界人に大きな衝撃を与え、絶賛され、特別なものとして人気を得ていきます。「こんな美味しいもの初めてだ!」という異世界人たちの反応を見ていると、いつものメニューもとても尊いものに見えて、私たちの文化が誇らしく感じられます。
例えば、『異世界食堂』(犬塚惇平/スクウェア・エニックス)や『異世界居酒屋「のぶ」』(原作:蝉川夏哉、漫画:ヴァージニア二等兵/KADOKAWA)は、アニメ化もされた本ジャンルの大人気作品です。
『異世界食堂』は、なぜか毎週土曜日だけ異世界につながる洋食屋「ねこや」が舞台の作品。「ねこや」の料理はメンチカツ定食やカツ丼、チキンカレーなどごくごく普通の洋食ばかりなのですが、異世界の住人たちはこの店の料理に感動! そして料理を通してキャラクター同士がつながっていき、この店やこの店の料理を中心とした歴史を紡いでいきます。普通の洋食屋であるはずの「ねこや」は、異世界に住む彼ら、彼女らにとって、「思い出の詰まった特別な場所」になっていくのです。
もう一方の『異世界居酒屋「のぶ」』は、店の入り口が中世ヨーロッパを思わせる世界・アイテーリアとつながっている居酒屋「のぶ」が舞台。現代の日本と比べるとまだまだ文明が未発達なアイテーリアは、新鮮な食材が手に入りにくいという事情を抱えています。