ファミコンの性能を「限界突破」した名作コナミゲーム・3選 工夫と力技がスゴい!
2023年で生誕40周年を迎えるファミリーコンピュータ(ファミコン)には、ハードスペックの限界に迫る表現力豊かなソフトが多数存在します。今回は企業努力によって開発した特殊チップを内蔵し、グラフィックやBGMを洗練させたコナミのファミコンソフトを振り返ります。
ファミコンの限界を越えたコナミ産ソフト
![1987年9月25日発売『沙羅曼蛇』 (C)Konami Digital Entertainment](https://magmix.jp/wp-content/uploads/2023/03/230227-konami-01-300x261.jpg)
ビデオゲーム市場の立役者となった「ファミリーコンピュータ」(以下、ファミコン)が、2023年7月15日で生誕40周年を迎えます。優に1000本を越えるファミコンソフトが発売されましたが、なかには特殊チップを内蔵し、ファミコンのスペック以上の演出(グラフィック/BGM等)を実現させた作品もありました。
その代表例とも言えるのが、今なお業界で確かなポジションを維持し続けるコナミのファミコンソフトです。同社は「Virtual Rom Controller」(以下、VRC)と呼ばれる特殊チップを開発。端的に言えば、VRCはバンク切り替え(RAM/ROMの容量を増やす手法)を可能にし、ソフト側からファミコンの演出面を強化することができました。
今回はVRCを搭載したファミコンソフトのうち、グラフィックとサウンドに関して特筆すべき点を誇った3本をご紹介します。
●沙羅曼蛇(1987年9月25日発売)
1986年にアーケードゲームでデビューを果たしたシューティング作品『沙羅曼蛇』。同作品は誕生の翌年にファミコンソフトへ移植され、オリジナル版にはないアレンジ要素(新規ボス/新ステージ追加)で高評価を獲得しました。横スクロールシューティングの名作『グラディウス』と世界観を共有しており、プレイヤーは崩壊の危機に瀕した惑星ラティスを救うため、超時空戦闘機「ビックバイパー」で戦場に身を投じます。
「生々しい細胞壁に包まれたステージ1」「厳かなピラミッドを想起させるステージ5」……等々、外生物がはびこるさまざまな地形を丁寧に描きあげた『沙羅曼蛇』。その表現力を実現したのは、あらかじめソフトに内蔵されたVRCの性能です。
ファミコン版『グラディウス』よりも緻密なグラフィック描写が可能になったほか、自機をサポートする「オプション」も最大3つまで装備できるように。自機を覆い尽くさんと吹き上がるプロミネンス(ステージ3)や最終ステージで待ち受ける巨大ボス「沙羅曼蛇」はとりわけインパクトが強く、ファミコン版『沙羅曼蛇』はオリジナル版に見劣りしないポテンシャルを備えることができました。
●悪魔城伝説(1989年12月22日発売)
1989年発売の『悪魔城伝説』と言えば、1986年に端を発する「悪魔城ドラキュラ」シリーズの第3作目にあたります。時は15世紀。ヨーロッパ全土の支配を目論むドラキュラを食い止めるべく、正教会はヴァンパイアハンターの血脈を受け継ぐベルモンド家に一縷の望みをたくします。かくしてプレイヤーはヴァンパイアハンター「ラルフ・ベルモンド」を操り、数名のパートナーキャラと共にドラキュラ討伐へ出発します。
『悪魔城伝説』がファミコン時代の同シリーズ作品よりも一歩抜きん出ていた要因として、「厚みのあるBGMで深みを増した演出」が挙げられます。VRCを内蔵した同作品は、カセット側で発音させた音源とハード本体の音源をミックスし、ファミコンに備わった同時発音数の限界を突破。発音数が増えたことで、結果的に厚みのあるサウンドが実現しました。
「悪魔城ドラキュラ」シリーズを代表するBGM「Vampire Killer」を新旧作品で聴き比べてみると、その違いは一目瞭然。拡張音源を使ったファミコンソフトは他社からも出ていますが、『悪魔城伝説』の音源はそれらを含めても5本の指に入るクオリティと言っても過言ではないでしょう。