マンガ・アニメで再生したプラモ3選、来日観光客の人気みやげにも?/静岡ホビーショー
巧みな「キット」の使い分けーープラッツ『ガールズ&パンツァー』
戦車の戦いで全国一を目指す少女たちが活躍する『ガールズ&パンツァー』のプラモデルを数多くリリースしているプラッツは、製品ごとに最適なメーカーやスケールモデルキットを選定しています。作中の描写で、実際のスケールモデルにはないパーツや装飾品がついている場合は、新たに追加パーツを用意してパッケージしているといいます。
同社営業担当者は「アニメのファンの方と、ミリタリー好きの方の両方が『ガルパン』モデルを買っていただいています。そのため、『ガルパン』がきっかけで初めて戦車のプラモデルを作って下さる方がいる一方で、なかには『あのメーカーのキットならば』という理由で買ってくださるような、こだわりをお持ちの方もいます」と話しています。プラッツの『ガルパン』シリーズは、メーカーとの巧みな協業を実現する企画力に支えられているといえそうです。
中国人観光客が次々と買っていく?ーーアオシマ『頭文字D』
「ホビーショー」会場には、マンガ連載、TVアニメ放送が終了した現在もなお根強い人気を誇る自動車のプラモデルもありました。古くから自動車のスケールモデルに力を入れているアオシマが展開する『頭文字D』シリーズです。
『頭文字D』の登場人物の愛車を、ストーリー展開にあわせたさまざまなバージョンで展開しています。新製品として、主人公・藤原拓海と同じAE86(レビン)で戦いを挑んでくる秋山渉の愛車や、拓海のライバル・高橋啓介の愛車FD3Sのコミックス1巻当時仕様のモデルが発売を控えています。
アオシマ開発事業本部の担当者によると、『頭文字D』シリーズのプラモデルは基本的に、設計や塗装の仕方などは通常のAE86などのスケールモデルと大きく変わらないそうですが、近年、中国圏から来日する多くの観光客が、この『頭文字D』シリーズを買い求めているといいます。
『頭文字D』は香港・台湾のトップ・スターが出演した実写映画『頭文字D THE MOVIE』(2005年)がきっかけで中国語圏にも広く知られ、作品のファン層が広がっています。しかし、アオシマの『頭文字D』シリーズは中国で正規販売されていないため、来日したファンにとって貴重な「おみやげ」になっているというのです。
特に人気のモデルは国内外問わず、藤原拓海のAE86トレノ、それも「プロジェクトD」加入以前のおなじみのバージョン。その売れ方は「自分たちも信じられないほど」で、毎年、再生産を繰り返しているとか。「AE86は車好きの人から子供まで広く知られているため、ファンでない方にも買っていだだけるという、稀有なモデルです」と、担当者は話しています。
アニメやマンガとのマッチングによって別の商品として再生されたスケールモデルには、メーカーそれぞれの強みを活かしながら、作品のファンとプラモデル好きの両方にその魅力を伝えていこうとする努力が込められています。
(マグミクス編集部)