『ウルトラマンA』最終回から50年 地球に残された言葉は誰のためだったのか?
当時の子供たちに多大な影響を与えた『ウルトラマンA』最終回から50年が経ちました。いまだに多くのファンの心に響くAが残した最後の言葉。どうして心に響くのかを解説してみましょう。
Aが残した最後の言葉が持つ大きな意味
本日2023年3月30日は、半世紀前の1973年に『ウルトラマンA』最終回「明日のエースは君だ!」が放送された日です。後々、ウルトラシリーズの名セリフのひとつといわれるウルトラマンAの最後のセリフがあったエピソードでした。
※この記事には『ウルトラマンA』最終回のネタバレとなる記述が多く含まれています。閲覧にはご注意ください。
「やさしさを失わないでくれ。どこの国の人たちとも友だちになろうとする気持ちを失わないでくれ……」というAのセリフは、ウルトラシリーズ屈指の名セリフと前述しましたが、一般的に広く知れわたったきっかけは、後年にAがゲスト出演した『ウルトラマンメビウス』第44話「エースの願い」で引用されてからでしょうか。
もちろん筆者をはじめとする一部の層には放送当時から印象深いものでしたが、『メビウス』で引用されることで若い世代にも知られるようになり、今日では『A』で外せない要素のひとつという認識になっていったと思います。
このセリフには当然、深い意味があります。そのストーリーを説明していくと……地球に流れ着いたサイモン星人の子供を引き渡すよう要求するヤプール。しかしこれはヤプールの自作自演で、サイモン星人こそヤプールだったのです。それを知った北斗星司でしたが、それを伝えることは自分がAだと明かすことでした。
結果的に北斗はサイモン星人を倒し、自分がAであることを明かして変身、最後の超獣「最強超獣 ジャンボキング」に戦いを挑み勝利します。そして、前述の言葉を地球の子供たちに残して、故郷のM78星雲へと去っていきました。
このセリフのとらえ方は、これまでにも多くの識者やファンの間で多くの考察がされています。それゆえに、受け取り方でさまざまな考えを導き出せるでしょう。筆者も見るたびにいまだに違う考え方に至ることがあります。
実はこの最終回は『A』のメインライターだった市川森一さんによるものでした。しかし市川さんは1クール終了後から一時期、作品から離れ、終盤のヤプールがらみのエピソードのみを担当しています。
これに関して、いくつかの批判的な意見があり、途中で番組を降板させられた市川さんの皮肉が込められたのが最終回とも言われていました。しかし、それが本当だとしても最終回に込められたテーマには人の心を動かすだけの力があると感じます。そうでなければ、現在まで語り継がれるほどの最終回にはなっていないでしょう。
前述したように作品から発信されたメッセージを受け取るのは視聴者です。そして、受け取り方は人それぞれ。『A』の最終回を見たみなさんは、Aが残した言葉をどう受け止めましたか?