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『ウルトラマンA』最終回から50年 地球に残された言葉は誰のためだったのか?

第2期ウルトラシリーズの「奇妙な共通点」

DVD『ウルトラマンA 1972』(ジェネオンエンタテインメント)
DVD『ウルトラマンA 1972』(ジェネオンエンタテインメント)

 第2期ウルトラシリーズを振り返った時、その最終回にまったく同じ展開が用意されていたことに気づく人が多いと思います。それは、ウルトラマンから子供たちに向けたメッセージがあること。作品ごとに違っていましたが、子供たちに向けたウルトラマンの別れの言葉でした。

『帰ってきたウルトラマン』では郷秀樹が坂田次郎に「ウルトラ5つの誓い」を残し去っていき、『ウルトラマンタロウ』では東光太郎が生身で星人と戦うことで白鳥健一に勇気を示し、『ウルトラマンレオ』ではおゝとりゲンが梅田トオルの自立を促します。みんな1年過ごした兄と呼べる存在との別れを描いていました。

 ここまでで気づいた人も多いことでしょうが、本作『A』では個人的な付き合いのあった少年との別れはありません。あえて言うならば、『A』第29話「ウルトラ6番目の弟」から登場した梅津ダンという少年と北斗の兄弟のような関係は描かれていましたが、ダンは第43話を最後に登場しなくなりました。これにはダンの「ウルトラ6番目の弟」という設定が次回作である『タロウ』とかぶるからと言われています。

 しかし、ここで偶然にも大きな意味ができたと筆者は考えていました。それはAが残した言葉は特定の個人へではなく、すべての子供たちに残した言葉となるからです。それは放送当時の子供たちだけでなく、その後に生まれてきた子供たちにも向けられた言葉。……そう考えると、とてつもなく大きな意味に聞こえてきます。

 前述した『メビウス』で引用された際は、心ない言葉に傷つくヒビノ・ミライ/ウルトラマンメビウスにこの言葉は向けられていました。つまり偶然からでしょうが、Aの言葉は個人に向けられたものでなかったことから、すべての子供たちに贈られた言葉だと解釈できます。もちろん今は大人になっている人も、Aから見たら年下ですから子供と大差ないでしょう。

 そのうえで、あらためてAが残した言葉を受け止めると、視聴者ひとりひとりに向けられたメッセージ。そう考えると、受け止め方も変わってくるかと思います。もちろん現実世界はそんなきれいごとで済まないことも多々ありますが、その理想を忘れることなく心に秘めて生きていきたい。少なくとも『A』最終回で心を動かされた人はそうあってほしいと思います。

※Aが残した最後の言葉を全文掲載するのは脚本引用にあたると判断し、一部分の引用のみであることをご理解ください。

(加々美利治)

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