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読んでないのに知ってる? マンガの「超有名1コマ」 「無言なのに雄弁」

マンガの伝説的な「1コマ」は、パロディなどで拡散された結果、「読んでないけど知ってる」というパターンも多いのではないでしょうか。そんな超有名な1コマを、5つご紹介します。

たった1コマ、セリフなしで伝わってくる迫力

あの有名なコマが表紙の『あしたのジョー2 COMPLETE DVD BOOKシリーズ』vol.5 (C)高森朝雄・ちばてつや/講談社・TMS
あの有名なコマが表紙の『あしたのジョー2 COMPLETE DVD BOOKシリーズ』vol.5 (C)高森朝雄・ちばてつや/講談社・TMS

 世の中に名作マンガは多々ありますが、有名な「1コマ」に絞ったら、どんなものが挙げられるでしょうか。物語上でも伝説となった1コマは、グッズ化やパロディなどで拡散されていくため、「作品自体は読んだことないけど、この1コマは見たことある!」というものもあることでしょう。今回は、「セリフなし」の超有名な1コマを振り返ります。

●『あしたのジョー』:真っ白に燃え尽きたジョー

 リングサイドで力尽き、微笑みを浮かべながら目を閉じるジョー。『あしたのジョー』(作:高森朝雄、ちばてつや)の壮絶なラストシーンは、マンガ史上でも最も有名な1コマと言ってもいいのではないでしょうか。「燃えたよ…真っ白に…燃え尽きた…まっ白な灰に……」というセリフもあわせて有名ですが、実際には「真っ白な灰」のセリフはラストシーンでは描かれておらず、試合終了後の別のコマで使用されています。

 ホセ・メンドーサ戦終結後のこの有名なラストシーンですが、もともとは別のラストが想定されていたことを、ちばてつや先生が語っています。高森朝雄先生(梶原一騎先生の別名義)が考えていたというそのラストは、パンチドランカーになったジョーがヒロイン・白木葉子の屋敷で余生を過ごしており、それを葉子が離れた場所からそっと見守っている、というもの。これはこれで美しいラストなのかもしれませんが、悩み抜いた結果、この伝説的なラストシーンが誕生することになったのです。

●『北斗の拳』:ラオウの大往生

 格闘マンガの金字塔である『北斗の拳』(作:武論尊、原哲夫)で有名な1コマと言えば、ケンシロウに敗れたラオウが、自らの秘孔を突き、拳を掲げて大往生したシーンです。死に際のカッコよさが凝縮された、屈指の名シーンと言えるでしょう。

「わが生涯に一片の悔いなし!!」というセリフと併せて有名ですが、こちらはエネルギーを天に放出する場面で発せられており、厳密には有名なコマとは別のコマで用いられています。セリフと併せさまざまなパロディ等で見かけるため、未読でも知っているという方が多そうな1コマです。

●『SLAM DUNK』:桜木と流川のハイタッチ

 劇場版も大ヒット中で、再度注目を集めている『SLAM DUNK』では、安西先生の「あきらめたらそこで試合終了だよ」や、三井の「バスケがしたいです…」も有名ですが、やはり一番の「1コマ」と言ったら、桜木と流川のハイタッチでしょう。

 山王戦のラスト、ふたりの初めての協力プレイの後、見開きで描かれたこのシーンは読者に息を呑ませました。圧倒的な作画の美麗さが際立つなか、セリフはなし。2人の昂ぶりが伝わってくる、何度読み返しても熱くなる1コマです。

●『ONE PIECE』:仲間の印

 続いては、国民的マンガの『ONE PIECE』(作:尾田栄一郎)の「アラバスタ編」のラストです。冒険をともにした麦わらの一味との別れ際で、「いつかまた会えたら!!! もう一度仲間と呼んでくれますか!!!?」と訴えかけるビビ。それに対してルフィたちは、後ろを向き腕を突き上げて、「×印」を見せつけました。言葉を返さずとも、「仲間の印」を見せることで心が通じ合った、屈指の名シーンです。

 ネット上には、この構図を真似して写真を撮る人が見受けられるなど、「仲間」を象徴するシーンとして浸透しているイメージがあります。世界一のヒットマンガである同作でも、ひときわ知名度のある1コマと言えるでしょう。

●『AKIRA』:ネオ東京壊滅

 斬新な表現で多くの作品に影響を与えたSFマンガの金字塔『AKIRA』(作:大友克洋)は、アニメ版ではバイクアクションのシーンも有名ですが、原作でひときわ印象的な「1コマ」と言えば、「アキラ」の覚醒によってネオ東京が崩壊するシーンではないでしょうか。

 緻密に描かれた都市のスケール感に加え、黒い球体として描かれた爆発が不気味さを感じさせる、圧倒的なインパクトを持った1コマです。週刊連載でこれを描いていたと思うと、気が遠くなります。

(古永家啓輔)

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