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放送から30周年の『アイアンリーガー』 「正々堂々」と戦う姿が持つ意義とは

2023年4月6日で放送開始から30周年を迎えた『疾風!アイアンリーガー』は、「SD」ブームのなかで生まれた作品でしたが、その内容は予想した層以外にも大きな評価を得ることになります。作品が持っていた意味について解説しましょう。

SDブームの真っただ中に生まれた!

『疾風!アイアンリーガー』ビジュアル (C)サンライズ
『疾風!アイアンリーガー』ビジュアル (C)サンライズ

 本日4月6日は1993年に、TVアニメ『疾風!アイアンリーガー』が放送開始した日です。2023年で30周年になります。本作に登場するロボは二頭身で、いわゆる「SD」と呼ばれる形状でした。

 この時代は、数年前から「SDキャラ」の作品が多く製作されています。その起点となるのが『SDガンダム』でした。『機動戦士ガンダム』に登場するMS(モビルスーツ)を二頭身にしたものです。このSDとは「スーパー・ディフォルメ」の略称でした。

 SDガンダムが商品化されたのは、ガシャポンの塩化ビニール製フィギュアとして販売された1985年のことです。その後、模型やオモチャになることで、一躍ヒット商品になりました。奇しくも、この1985年からスタートした商品に、「ビックリマンチョコ」の「悪魔VS天使」シリーズもあります。

 このSDガンダムとビックリマンチョコの大ヒットが、「低等身キャラブーム」につながり、各メーカーが競って追従することとなりました。そして1987年にTVアニメ作品として『ビックリマン』が放送されたことで、アニメ作品にも低等身キャラが進出することになっていきます。

『魔神英雄伝ワタル』(1988年)、『桃太郎伝説 PEACHBOY LEGEND』(1989年)、『キャッ党忍伝てやんでえ』(1990年)、『からくり剣豪伝ムサシロード』(1990年)など、さまざまなタイプの作品が製作されました。

 このブームのけん引役だったのは『SDガンダム』です。なぜなら低等身のキャラを説明するとき、たいていの人はSDと呼称するからでした。代名詞となるほどSDという名前が浸透したのは、やはりブームの中心にいた証でしょう。このOVAだった『SDガンダム』が、『ガンバレ!SDガンダム大行進』としてTV放送された枠の直後に開始したのが、『アイアンリーガー』でした。

『アイアンリーガー』が、他のSD系作品と違う点がいくつかあります。そのひとつが「世界観」でした。SD系の作品がほとんど異世界モノであったのに対して、本作は現代の延長世界にあります。この異世界モノが人気だった理由としては、当時の流行だったRPG(ロール・プレイング・ゲーム)の影響が大きいでしょう。

 そして、もうひとつ違う点が「SDである理由」です。その他の作品は、リアリティを考えれば、SDである必要は皆無。また、SDキャラがその世界でどうやって生まれたのか、作られたのかは濁されています。その点、『アイアンリーガー』は自立思考型超AIロボット「アイアンリーガー」が、人間によって作られたロボットであることを、しっかり描いていました。

 もっとも、本作劇中に登場するアイアンリーガーが感情豊かで、怒ったり泣いたり笑ったりすることには機械的な説明がありません。機械が感情を持つことをテーマにした作品も少なくありませんが、本作ではそこは当たり前となっています。ある意味で、この部分はファンタジーと言えるかもしれません。

【画像】2023年に「周年」を迎える、サンライズの懐かしの名作!(5枚)

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