重要人物だけど「1巻以内」に死んだキャラ 「ヒロイン補正あると思ってた」
ストーリー上での重要人物、主人公の幼なじみなど、主要人物かと思いきや単行本1巻の時点で死亡してしまい、早々退場となるキャラクターは少なくありません。「こんな展開あり?」と衝撃を受ける読者も続出しています。
「死ぬわけない」と思ってたのに!?
「争いが終わった後の話を始める」「敵を侮る」など、死亡するキャラクターがとる特定の行動は「死亡フラグ」と呼ばれています。マンガやアニメでモブキャラは死亡フラグを立てる傾向が強いものの、重要人物であろうキャラクターの場合は「なんやかんや生き残りそう」と読者も思いがちです。
だからこそ、読者の予想を裏切って重要なキャラクターが早々に退場してしまうと、「そんなはずが……」と動揺する声も見られます。
※この記事では『アイアムアヒーロー』『【推しの子】』『忍者と極道』『テラフォーマーズ』のキャラの生死に関わる記述があります。
●主人公の彼女が衝撃的な死!『アイアムアヒーロー』黒川徹子(てっこ)
2009年から2017年にかけて「ビッグコミックスピリッツ」で連載されていたマンガ『アイアムアヒーロー』(作:花沢健吾)は、パンデミック後の世界で「ZQN(ゾキュン)」と呼ばれるゾンビのような存在と戦う人間たちを描いた作品です。
文明が崩壊する前、売れない漫画家の主人公・鈴木英雄にとって、恋人の黒川徹子(てっこ)は唯一の癒しでした。しかし、ZQNの少女に噛みつかれたことで感染した徹子は、自室でZQNになってしまいます。
その後、英雄が徹子の住むアパートで郵便受け越しに目にしたのは、変わり果てた恋人の姿でした。人間離れした動きと力でドアを開け、つかみかかってきた徹子に英雄は噛まれてしまうものの、ドアにかじりついた際に徹子の歯が全て折れていたため、感染はせずに済みます。徹子は他のZQNから英雄を守ろうとするようなそぶりも見せましたが、彼女が助からないことを悟った英雄は、その後徹子の首を切断しました。
厳密に言うと徹子が「死亡」したのは2巻ですが、『アイアムアヒーロー』単行本1巻の最後はZQN化した彼女が主人公に襲い掛かってくるという、衝撃の場面となりました。それまで、作中ではゾンビパニックものとしての不穏な伏線は貼られつつも、漫画家志望の三十路男の悲喜こもごもを描いた作品のように見えていたので、この衝撃の展開は「この衝撃は忘れられない」「作者は鬼か?」「これで2巻以降買わない人いないでしょ」と読者に強い衝撃や絶望を与えています。また、後追いでゾンビホラーマンガと知った上で読んだ人のなかにも、主人公の恋人・徹子のことは英雄がなんとか守りながら物語が進行していくのでは、と予想していた人もいたようです。
さらに徹子の部屋には、彼女が朦朧としながらも乱れた字で書いた遺書や、本棚に飾られた英雄の作品など、最後に英雄に思いを伝えようとした形跡も残っていました。主人公の彼女が感染するという、身近なところからZQNの怖さを描いたからこそ、物語にぐっと惹き込まれた読者も多いようです。
●誕生日にまさかの悲劇……『【推しの子】』星野アイ
2023年4月12日(水)よりアニメも放送開始するマンガ『【推しの子】』(作:赤坂アカ・横槍メンゴ)は、予想できないサスペンス展開と、華々しい芸能界のドロドロとした闇を描く異色の作品です。
物語は、地方都市で働く産婦人科医のゴローの前に、双子の出産を決意した人気アイドル・アイが現れたところから始まります。アイは無事に双子を出産しますが、ゴローは直前にアイのストーカーに襲われて死亡、目が覚めたときには転生してアイの息子・愛久愛海(アクアマリン:通称アクア)になっていた……という衝撃の展開は、「推しの子の子供になる」という意味のタイトル回収でも、読者を驚かせました。
しかし、この衝撃はまだまだ序の口でした。アクアと双子の妹・瑠美衣(ルビー:彼女も転生したアイのファン)は、母親のアイと幸せな日々を過ごしていましたが、アイはなんと20歳の誕生日に、突如現れた前述のストーカーの凶刃に倒れてしまいます。出血がひどく、もう助からないと悟ったアイはアクアとルビーに「愛してる」と言い残し、息を引き取りました。
アクアとルビー、アイの家族の物語になるかと思いきや、1巻の時点でアイが思わぬ形で退場する展開は、「どういうこと?」「震えた」と読者もざわつきました。そしてアクアは、「犯人はなぜ引っ越したばかりのアイの家を知っていたのか」「自分たちの父親が事件に関わっているのではないか」といった疑問を持ち独自で捜査を開始するなど、アイの死はストーリーに大きな影を落としています。