「峰不二子」とは何者なのか? 『ルパン三世』浄園プロデューサーに聞く
沢城みゆきさん演じる、峰不二子の「素顔」

2011年に放映されたテレビスペシャル『ルパン三世 血の刻印 永遠のMermaid』(日本テレビ系)から、峰不二子の3代目声優をつとめている沢城みゆきさんの素顔についても聞きました。
浄園「沢城さんの普段の声は、不二子ではあまり聞かない低めの音で、でもセクシーなんです。『報道ステーション』(テレビ朝日系)のナレーションもされていますが、ニュース原稿を読んでいるだけなのに『色っぽすぎる』と言われたそうです(笑)。アフレコのときは、ブースに入る前にスマホの鍵盤アプリを使って音を合わせたり、時には口を閉じたまま『んーんー』と声をチューニングしながら不二子役に入っているのが印象的ですね。
今回の不二子は小さな男の子を連れて逃亡する展開になるのですが、武器であるセクシーさが通じない子どもが相手なため、不二子が子どもを相手に感情を爆発させるシーンがあります。
アフレコでは僕も驚くほど、沢城さんは感情をむき出しにして生々しく演じてくれました。過去作のセクシーアイコンというキャラクターの中に閉じ込められていた不二子とは違う、素顔の不二子を見ることができると思うので、ぜひ注目してください」
現実社会にも、峰不二子のような女性は存在するのでしょうか。浄園プロデューサーは最後にこう語りました。
「不二子はいろんな顔を持っていますが、人によって異なる印象を与える『不二子像』は、ある意味すべての女性に共通するもののように僕は思います。不二子は自分の目標を達成するためなら、自分の持っている武器はセクシーさも含め、すべて惜しみなく使います。そこが不二子のしたたかさであり、強さにもなっています。
実際に起きた事件などを見ても、女性の犯罪者は証言者によってまったく異なった印象で語られることが多いんじゃないでしょうか。名前を変え、整形手術で顔も変えて逃亡し続けたり、逮捕されても獄中結婚をしたり……。被害にあった多くの男性が翻弄されていますが、彼女たちを悪くは言わない。峰不二子というキャラクターがもし実在したら、それはとても怖い存在だと思いますね」
(長野辰次)
●浄園祐(きよぞの・ゆう)
1972年静岡県生まれ。テレコム・アニメーションフィルム代表取締役社長。主なプロデュース作に、『LUPIN the Third 峰不二子という女』(12年)、『LUPIN THE IIIRD 次元大介の墓標』(14年)、『LUPIN THE IIIRD 血煙の石川五ェ門』(17年)、『ルパン三世 PART5』(18年)などがある。
●『LUPIN THE IIIRD 峰不二子の嘘』
2019年5月31日(金)より新宿バルト9ほか限定劇場公開
原作:モンキー・パンチ
監督・演出・キャラクターデザイン:小池健
脚本:高橋悠也/音楽:ジェイムス下地/クリエイティブ・アドバイザー:石井克人
【声の出演】栗田貫一、小林清志、沢城みゆき、宮野真守
【製作・著作】トムス・エンタテインメント
【アニメーション制作】テレコム・アニメーションフィルム