「倒したくないなぁ…」と思ったゲームの敵キャラたち 「トラウマ展開に唖然」
目的のためには、時に戦いが避けられない場合があります。特にRPGだと、その傾向が顕著と言えるでしょう。しかし、敵は常に「憎い相手」とは限りません。戦うしかない、でも倒したくない……そんな、忘れがたい敵との思い出を振り返ってみました。
憎いはずの敵が、自分と同じ気持ちだったなんて……!
一般的なRPGでは、目的を達するまでの道のりにさまざまな敵との戦いが待ち受けています。しかし時には、「倒したくない敵」と向き合うことも。戦う以外の道があれば……と願うものの避けられない場合が多く、その勝利も苦いものになりがちです。
こうした忘れられない敵との戦いは、ゲームを遊んだ人の数だけあります。無論筆者にとっても、記憶に刻まれた戦いはいくつもありますが、今回はそこから3つの作品を厳選し、紹介します。
この振り返りをきっかけに、あなたにとっての「倒したくない敵」を思い出してみてはいかがですか? ただし、各作品の要点に迫るため、一部ネタバレがあるのでご注意ください。
●幼馴染の仇は、同じ苦しみを抱く最も近い相手に……
ファミコン時代の「倒したくない敵」といえば、『ドラゴンクエストIV 導かれし者たち』に登場する「デスピサロ」が忘れられません。ピサロは魔族を率いるリーダー格で、人類を滅ぼさんと暗躍。その一端として、主人公である勇者を倒すべく、山奥の村を襲撃しました。
この時、勇者の幼馴染であるシンシアが身代わりとなり、魔族の手にかかって命を落とします。彼女の献身的な行動のおかげで勇者は助かりましたが、その悲劇は勇者の胸に、そしてプレイヤーの記憶にも刻まれました。
シンシアの仇をとる──そんな想いに駆られながら旅を続けていくと、デスピサロがなぜ人間を滅ぼしたいのか、その理由が浮き彫りになっていきます。
彼が特に憎んだのは、人間の底知れぬ欲深さ。泣くと「ルビーの涙」を流すロザリーをつけ狙う人間たちの所業に怒り、その手が届かないようにロザリーを匿います。
しかし、人間の強欲はとうとうロザリーを捕らえ、痛めつけられた挙句に死亡。その絶望と人間への怒りから、デスピサロは「進化の秘宝」を自身に用い、理性すら失う破壊の権化になり果ててしまいます。
勇者にとってデスピサロは、シンシアを殺した憎い仇。ですがそのデスピサロも、愛する者を理不尽に奪い去られており、敵でありながら最も近しい場所にいる相手なのだと気づかされます。
シンシアの仇で、同じ痛みを持つ相手で、破壊の権化と化した存在。そんなデスピサロを倒したくない……けれど、自分以外に倒させたくない。そんな複雑な感情と共に、最終決戦に挑んだあの日を今も忘れられません。
なお余談ですが、後にリリースされた初代PlayStation版『ドラクエIV』では、ロザリーとデスピサロを救い、更なる真実に近づく追加ストーリーが用意されました。その内容は賛否が分かれましたが、個人的には「報われる可能性がある」という事実に救われています。