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『甲鉄城のカバネリ 海門決戦』ー多彩な「ワクワク」が凝縮した90分

2019年5月10日の劇場公開と同時にNetflixなどで配信開始した中編アニメ『甲鉄城のカバネリ 海門決戦』は、同シリーズのファン待望の最新作ですが、独特の世界観のなかに多彩な楽しみどころの詰まった作品です。

ファンの期待を集め、「初日満足度ランキング」1位

『甲鉄城のカバネリ 海門決戦』 (C)カバネリ製作委員会
『甲鉄城のカバネリ 海門決戦』 (C)カバネリ製作委員会

 2019年5月10日から2週間限定で劇場公開された中編アニメ『甲鉄城のカバネリ 海門決戦』は、同日の「ぴあ映画初日満足度ランキング」で1位を獲得しました。劇場公開と同時にNetflixとAmazon Prime Videoでも配信中です。

『甲鉄城のカバネリ』は、アニメ版『進撃の巨人』を手がけたことで知られるWIT STUDIO制作のアニメシリーズです。2016年4月から6月までフジテレビ『ノイタミナ』枠で放送され、TVアニメ版の物語を受け継ぐ「続編」として、スマーとフォン・PCブラウザ向けゲーム『甲鉄城のカバネリ -乱-』が2018年12月にリリースされています。

 TVアニメ版から語られる同作品の舞台は、噛んだ人間をウイルス感染させ同種へと変えてしまう怪物「カバネ」が突如出現し、世の中を覆い尽くしてしまった世界です。

 極東の島国・日ノ本では、それぞれ発展した「駅(えき)」と呼ばれる砦を「駿城(はやしろ)」と呼ばれる装甲蒸気機関車で行き来し、時にカバネから逃れ、時に戦う生活を送っています。主人公の生駒(いこま CV:畠中祐)はかつてカバネリに妹を殺され、カバネへの復讐に燃える少年で、親友の逞生(たくみ CV:梶裕貴)とともにカバネを研究し、対カバネ用の武器やカバネウイルスの侵攻を喰い止める器具を開発しました。
 
 そこへ、彼の住んでいた顕金駅(あらがねえき)に少女・無名(むめい CV:千本木彩花)を乗せた駿城・甲鉄城(こうてつじょう)がやって来ます。それと同時に顕金駅がカバネに襲われ、生駒も噛まれてしまいます。自作の器具を使い体はカバネで精神は人間という存在「カバネリ」となるのです。

 今回の『海門決戦』の監督は、TVアニメに引き続き荒木哲郎氏がつとめます。甲鉄城に乗り込み熾烈(しれつ)な戦いをくぐり抜けた生駒たちが、日本海に面する廃坑駅「海門(うなと)」にたどり着くところから物語が始まります。

 作中の世界観はどこか日本に似ている独特のものですが、服装や身分などの設定は日本人にとって多くの説明を必要としません。キャラクターの服装や文明レベルは時代劇のようでもありますが、使われる武器や装甲蒸気機関車などにはスチームパンク要素も見られます。
 
 もちろん、ゾンビものでもありますし、列車に乗って旅するロードムービーでもあります。バトルアクションの見せ場、色鮮やかに描かれる世界、重厚なBGM、人間とカバネの狭間の存在であるカバネリの葛藤など、90分のなかに観る者をワクワクさせる多彩な要素を凝縮し、多様な楽しみどころをもつ作品となっています。

(二木知宏)

【画像】TV版と『海門決戦』をつなぐゲーム、『甲鉄城のカバネリ -乱-』

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