「足手まとい」から急成長したジャンプヒロイン もはや強キャラ?
「週刊少年ジャンプ」のバトルマンガに登場する女性は、守られるだけのか弱い存在ではありません。序盤では足手まといだったヒロインが冒険や苦難を糧に成長して、主人公を助ける戦力になる展開は胸熱です。ここでは女性キャラ3人が、最初のお荷物状態から脱却して、頼りがいのある姉御になるまでの足取りを追います。
異能力で、武器で、知識で……主人公を勝ちに導く!
バトルマンガの華となるメインヒロイン───可愛らしくて読者人気も高い一方、戦いには不参加だったり、人質にされてしまったりと、特に昔の「ジャンプ」作品では足手まといになるケースも見受けられます。例えば『ろくでなしBLUES』のヒロイン・七瀬千秋(ななせ・ちあき)は、前田太尊(まえだ・たいそん)をおびき出しすための人質として、よくさらわれていた印象が強いです。
しかし近年の「ジャンプ」作品では、『呪術廻戦』の釘崎野薔薇(くぎさき・のばら)や禪院真希(ぜんいん・まき)のように、前線でアタッカーを務める女性も増えました。
ここでは、明晰な頭脳や異能力で主人公たちをサポートしたり、時には戦局を変えたりするほど頼もしく成長した女性キャラたち3人を紹介します。
●『ワンピース』ナミ
麦わらの一味では航海士で非戦闘要員のナミ。自ら進んでバトルに参加しませんし、ウソップとともに泣きながら逃げまどう印象が強いナミですが、彼女の意識改革と言える事件がアーロンの裏切りでした。
助けを求められずに苦しんでいた最後の最後で「ルフィ………助けて…」と手を伸ばし、「当たり前だ!!!!!」と応じてもらえた経験が、土壇場で覚悟を決める芯の強さに繋がったのでしょう。
ナミの強さの変遷は、武器の強化に直結しています。ウソップに作ってもらった天候棒(クリマ・タクト)は、空島の貝(ダイヤル)で強化されて完成版天候棒(パーフェクト・クリマ・タクト)になりました。さらに2年間の修行期間、ナミが過ごしたウェザリアにて、天候の科学知識を得て魔法の天候棒(ソーサリー・クリマ・タクト)に進化するのです。
ワノ国でもゼウスという雲の能力が加わったことで、より強力な雷撃を放てるようになり、飛び六胞のひとり・うるティに勝利するほど勇ましい戦いを繰り広げるまでになりました。
初期のナミはバギー海賊団の雑魚にも取り押さえられる、助けられる側のか弱い存在でした。それが経験を積み重ねていくうちに、数多くの敵を一撃で薙ぎ払う女傑“泥棒猫”としてここまで強くなるとは……『ワンピース』女性陣の中で、もっともパワーアップしたのはナミかもしれません。
●『BLEACH』井上織姫
織姫は辛い過去を強さに変えて、何度も立ち上がってきました。ぽわぽわした見た目や言動から、典型的な守られ系ヒロインに見える織姫は、自分も誰かのためにと力を発揮していきます。
「あたしはお兄ちゃんと 生まれて初めてケンカをした」自分を両親の虐待から守っていた兄と、仲直りすることなく死に別れた過去。その悔恨が、「盾舜六花(しゅんしゅんりっか)」という過去の出来事をなかったことにする、過去改変に近い治癒能力につながっているのでしょう。盾舜六花の触媒が兄からプレゼントされたヘアピンで、兄妹ケンカの原因であることからも推察できます。
その能力を「神の領域を侵す能力(チカラ)だよ」とまで評価した藍染惣右介(あいぜん・そうすけ)は、みんなの命を人質に織姫を呼び寄せて、織姫は自ら敵の下へと向かいました。「ありがとう、黒崎君…さよなら」と、一護の寝顔に告げて旅立つシーンは、織姫の秘めた想いを吐露する名場面です。
みんなに守られてきたから、みんなを守る。織姫にはバトルでの華々しい勝ち星はありませんが、敵味方を問わず致命傷すら治して、ラスボスの攻撃も受けきる大活躍を遂げられるまでに成長したのです。