人気作の続編は難しい?『風雲ライオン丸』放送から50年 テコ入れを重ねたが結果は出ず
特撮時代劇ヒーローとして人気の高かった前作に引き続き製作された『風雲ライオン丸』は、いくつかの新要素を加えた期待の作品でしたが、前作ほどの人気を得ることはできませんでした。その軌跡を振り返ってみましょう。
時代劇と西部劇を融合した意欲作

本日4月14日は、1973年に特撮ヒーロー番組『風雲ライオン丸』が放送された日。今年2023年で放送50年目にあたります。前作にあたる『快傑ライオン丸』が好評だったことから生まれた作品でした。
前番組と同じくタイトルに「ライオン丸」を入れていますが、時代や設定的なつながりはなく、そのテイストを引き継いだシリーズ第二弾ともいうべき作品です。主役には前作で主人公の獅子丸を演じた潮哲也さんが、そのまま新主人公の「弾獅子丸」を続けて演じていました。
まったく世界観が違う続編で、前作の主人公を演じた役者がそのまま続投することはあまり例がありません。それを考えると、いかに潮さんが当時の子供たちからヒーローとして人気があり、スタッフから絶大な信頼を寄せられていたかがわかります。
もちろんシリーズ第二弾として、前作とは違った要素がいくつも加えられていました。その大きなひとつが時代劇にマカロニ・ウエスタン、いわゆる西部劇の要素を加えたことにあります。
弾獅子丸はポンチョ風の衣装を身にまとい、ともに行動する志乃と三吉は幌馬車に乗って旅をしていました。今の感覚だと疑問に思う方もいるでしょうが、当時は西部劇も頻繁に見られていた娯楽作品のひとつでした。『木枯し紋次郎』のようにマカロニ・ウエスタンの影響を受けた人気時代劇もありましたから、ある意味、時代劇と西部劇の融合は不思議なことでもなかったかもしれません。
もっとも加えられた要素は西部劇だけでなく、「ロケット変身」という背中の機械で空を飛んでライオン丸になるという、独特の変身方法もありました。ほかにもガトリング砲やバイクらしき乗り物など、時代考証にとらわれない独特の世界観を持っています。
こういった新要素で作品世界を強化していく一方で、前作で高い人気を誇ったライバルキャラであるタイガージョーのポジションにあたる「ブラックジャガー」を2話から早々に登場させるなど、前作で人気の高かった部分は踏襲していました。
こうして万全を期して人気番組だった『快傑ライオン丸』の後を引き継いで放送された『風運ライオン丸』でしたが、思わぬ苦戦を強いられることになります。その結果、作品は思わぬ方向へと流されていくことになりました。