アマプラで振り返る!『名探偵コナン』灰原哀の成長と重要エピソードたち 「もうひとりじゃない」
黒の組織と、組織を裏切ったヒロイン・灰原哀が登場するエピソードは『名探偵コナン』シリーズの中で一番おいしいところです。そこをつまみ食いするなんていうのは、あまりに贅沢な楽しみ方。灰原が活躍する最新作『名探偵コナン 黒鉄の魚影』公開直前の今、AmazonプライムビデオでTVアニメの重要回と映画をイッキ観しましょう!
慎重派の灰原と破天荒すぎるコナン
悲劇的な「逃げるヒロイン」からカッコいい「戦うヒロイン」へ。アニメ『名探偵コナン』(原作:青山剛昌)の灰原哀は、20年以上かけて少しずつ成長しています。
テレビ初登場回となる1999年放送の第129話「黒の組織から来た女 大学教授殺人事件」では、彼女は黒の組織から抜けた元研究者だと言ってコナンに接触してきます。黒の組織といえば、天才高校生・工藤新一が小学1年生の江戸川コナンとして生活するハメになった元凶です。灰原も、コナンと同じ薬(アポトキシン4869)を飲んで身体が小さくなったとのこと。コナンは、組織から追われる灰原を匿うことになります。
「見た目は子ども、頭脳は大人」という点で、コナンと灰原は同じです。しかし、この頃の黒の組織に対するふたりのスタンスは真逆でした。第176話「黒の組織との再会」で、偶然組織の手がかりをつかんだコナンは、すぐさまジンとウォッカを追跡します。彼は、もしかしたら殺されるかもしれない……なんてことは考えません。街で発見したジンの愛車のドアをこじ開けて、なかに盗聴器を仕込むという危険すぎる行為も。
一方、灰原は「組織の裏切り者は消される運命にある」と分かっていました。だから必死に逃げようとします。でも彼女がコナンと比べて臆病な性格だというわけではありません。大人の冷静な判断力を持っていると言った方がいいでしょう。犯罪者を恐れて距離を置こうとする灰原の方が、コナンよりよっぽど「まとも」なキャラです。
また、2001年劇場公開の『名探偵コナン 天国へのカウントダウン』(4月1日見放題配信開始)でも、灰原とコナンは対照的に描かれます。組織に殺害された姉を偲んでいた灰原は、出るはずのない姉の番号に電話をかけ、10秒足らずの留守電の声と会話していました。彼女はコナンに辛い心情をこう話します。
「この頃私、誰なんだろうって思うの。私は誰で、私の居場所はどこにあるんだろうって」
コナンはそんな弱音を言うキャラではないので、やはりふたりの性格は全く違ってみえます。想像してみれば、家族を失い、いきなり小学1年生として生活することになったとしたら、灰原のように孤独を感じるのは自然なことでしょう。
灰原に対し、コナンは「お前はひとりじゃない」と告げます。それがうわべだけの慰めの言葉ではなかったことは、映画後半部のアクションシーンを観れば分かります。舞台となるツインタワービルの超高層階に爆薬が仕掛けられ、少年探偵団の皆が決死の脱出作戦に挑みます。子どもたちだけで車を運転して、ビルからビルへダイブするというのです。
灰原は爆発の衝撃で車から振り落とされてしまい、光彦が命がけで助けようとします。かたや小学1年生、かたや実年齢18歳。精神年齢がどんなに離れていても、彼らは少年探偵団のメンバーとして心から信頼しあっていました。そんな仲間に恵まれた灰原は幸せ者です。