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45年前の和製『スパイダーマン』は戦隊モノの「巨大化」のルーツ? 斬新すぎた展開

45年前、1978年放送の東映製作のTVドラマ版『スパイダーマン』は、アメリカ版とは別物の日本オリジナルで制作され、なんと巨大ロボットに乗って敵を倒すフォーマットになります。これって……「アレ」のルーツではないでしょうか?

日本で一気に知名度アップした世界的ヒーロー

「スパイダーマン東映TVシリーズDVD BOX」(東映ビデオ)
「スパイダーマン東映TVシリーズDVD BOX」(東映ビデオ)

 アニメーション映画『スパイダーマン:スパイダーバース』の続編、『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』が、2023年6月16日に全国公開予定です。『スパイダーマン』は1962年にアメリカのマーベルコミックで生まれ、長く人気を誇る世界的ヒーローですが、実は45年前(1978年)の本日5月17日から、完全な日本オリジナルの特撮TVドラマ『スパイダーマン』が放送されていました。そして、ここに「スーパー戦隊定番のルーツ」があった事実に驚きます。

 東映が制作した特撮『スパイダーマン』(1978~79年・テレビ東京)は、コスチュームは原作とほぼ同じですが、その他に関しては「別物」です。あらすじは「バイクレーサー・山城拓也が宇宙から来たスパイダー星人にクモの能力を与えられ、父を殺した『鉄十字団』に立ち向かう」というものでした。

 拓也の右腕に装着された「スパイダーブレスレット」には、変身コスチュームや、クモの糸に見立てたロープ状の「スパイダーストリングス」が入っており、またクモの巣状のネットで敵を捕らえる「スパイダーネット」が飛び出すなど、あらゆる機能が集約されています。さらに、移動には空陸両用のスパイダーマシン「GP-7」を運転……と、ここまで説明すればお分かりの通り、当時の特撮ヒーローの「王道設定」に似ていました。しかし、同作はその王道にくさびを打つ、ある「挑戦的な新展開」を打ち出します。

 東映版『スパイダーマン』では毎回、終盤の戦闘中に、敵の鉄十字団の怪人が巨大化します。しかし、スパイダーマンは巨大化する能力を持っていません。そこでブレスレッドに「マーベラー!」と叫び、巨大な宇宙戦艦マーベラー(全長48m、重量2万5000t)を地底から出動させます。スパイダーマシンで空を飛びマーベラーに乗り込むと、スパイダーマンはすかさず「マーベラー・チェンジ・レオパルドン!」と雄たけびを上げるのです。

 するとマーベラーは、ガチャンガチャン!と変形して戦闘ロボット「レオパルドン」(全長60m)に変わります。そして巨大化した怪人と戦い、さまざまな武器を使って勝利するのでした。

 ……この「レオパルドン」から、ピンときませんか? そう、現在まで続くスーパー戦隊シリーズの展開と同じです。実は「等身大ヒーローが巨大ロボットに乗り込んで戦闘」という、「お約束の流れ」のルーツは『スパイダーマン』なのです。この新ギミックが、見事に当たりました。筆者も当時、「実写の『マジンガーZ』みたいだ」と驚いた記憶があります。

 当時は日本でのスパイダーマンの知名度がまだ低かったため、オリジナルの新番組だと思っていた人も多かったようです。逆に広く知られていたら、この内容は受け入れられなかったかもしれません。テレビ東京系はネット局が少なく、全国13局しか放送されていないのに加え、放映権の問題であまり再放送もされていないことから、番組を見たことがない人は意外に多いようです。

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