マンガ・アニメで描かれる「動物」のウソ・ホント 生物の専門家が解説
「驚くメイちゃん」の演出? 『トトロ』のヤギ

特に、カメのスタンド使いココ・ジャンボが、ザ・グレイトフル・デッド(老化させるスタンド)の攻撃を受けても老化しなかった、あるいはしにくかったのは、やはり変温動物だったからなのだろうな、と私は思っています。
というのも、ザ・グレイトフル・デッドは体温の高いものから急速に老化させるのです。劇中でザ・グレイトフル・デッドの老化攻撃がココ・ジャンボにも効いてしまっているのか疑問に思ったグイード・ミスタは、「このカメも年をとっているのかな…?でもカメは万年生きるっていうからな。オレたちよりも長生きか」と、つぶやいていました。
荒木先生が、ミスタのようにカメが長生きだから老化しづらいとしたのか、それともきちんとカメが変温動物であることを押さえてこの場面を描いたのか思いをはせると、ミスタのセリフがさらに楽しめます。
ちなみに、ココ・ジャンボははじめ駅の水場にいたことや甲羅の形状から、おそらくリクガメではなく水生のカメと思われます。そうすると寿命は、ヒトより長いということは考えにくいです。
そして、なんとそんな荒木先生は、超有名一流生物学雑誌「Cell」の表紙を飾ったこともあるのです! 当時大学院生だった筆者は、「Cell」Volume 130 (2007年9月7日発行)は、すぐ図書館に読みに行きました! いや、見に行きました(笑)。
●トトロのヤギ
ジブリの『となりのトトロ』で、メイちゃんが入院中のお母さんにトウモロコシを届ける途中で、ヤギに出くわすシーンがあります。
このヤギが大きく口を開けた時に、上下にしっかりと歯が生えていますが、実は、ヤギに上の前歯はありません。ヤギを含む偶蹄目(ぐうていもく)のうち、ウシ科やシカ科の動物に生えているのは下の歯だけ。歯のない上アゴはザラザラとしていて、このアゴと下の歯で草や歯をすりつぶし、反芻します。
これは作画のミスというよりは、メイちゃん目線でヤギへの「恐怖心」を描き出すために、宮崎駿氏があえて上の歯も描いた可能性も考えられます。それはご本人に聞かないとわからないことですし、トトロが素晴らしいファンタジー作品であることに変わりはありませんから、ここでの考察はこのくらいにしておきましょう。

