昔憧れたアニメキャラの髪型は再現できる? 現役美容師「ありえないけど無理じゃない」
お蝶夫人の縦ロール、風になびくオスカルのブロンド、エレガントなメーテルのロングヘアー……など、子供の頃にあこがれたアニメキャラクターのヘアスタイルは、再現できるのでしょうか。実現する際のポイントなど、エレガントでゴージャスなヘアスタイリングとメイクを得意とする、現役美容師さんにお話をうかがいます
ゴージャスな巻髪は、少女たちのあこがれ!!
オスカル、お蝶夫人、峰不二子、ラムちゃん……昭和世代が子供の頃、あこがれたアニメキャラクターは数多くいます。彼女たちみたいになりたいと、ファッションやヘアスタイルを真似してみたことはありませんか? 今や、アニメキャラクターなどのコスプレは日本が世界に誇る文化となり、ハロウィンだけでなく、イベントやお祭りでは、老若男女、誰でも気軽に仮装できるようになりました。
そこで今回は、子供の頃にあこがれたアニメキャラクターのヘアスタイルを実現するにはどうすればいいのか、エレガントでゴージャスなヘアスタイリングとメイクを得意とする美容師のTanieさんにお話を伺います。
Tanieさんは、「Hair&Make OFFICE TANIE」(大阪・心斎橋)の、オーナースタイリストです。「一期一会」と、お客様との出会いを大事にするTanieさんは、ご自身もさまざまなウイッグを使ったヘアスタイリングを披露しています。
ーーTanieさんは、つい先日、ご自身も、オスカル(『ベルサイユのばら』のキャラ 著:池田理代子)の格好でパーティに参加したそうですが、アニメキャラクターのヘアスタイルをする際の一番の注意点は何ですか?
Tanieさん(以下、敬称略)「アニメキャラクターのヘアスタイルを現実化しようとすると、実は、とても大きな問題があるんです。それは、『毛量』。一般的な人の毛量では、全然ボリュームが足りません。」
ーー解決策はありますか?
Tanie「ウイッグや付け毛を使えばいいんです! それなら、髪の毛の量も長さも自由自在ですから。ウイッグを1個、頭にポンと乗せておしまいってことじゃないですよ。前髪と後ろで2個使ったり、左右で1個ずつ使ったりします。それに、キャラクターによっては、髪の色も大切なポイントなので、いちいち染めたり、スプレーで色付けたりするより、ウイッグや付け毛を使うほうが手軽だし、なにより完成度が高くなります。」
ーーでは、幼い頃に多くの人があこがれたキャラクターの髪型について、個別でうかがっていきます。まずは、ゴージャスな巻髪にあこがれた『エースをねらえ!』の、「お蝶夫人(竜崎麗香)」のヘアスタイルにするには?
Tanie「本当にお蝶夫人に似せようと思ったら、一般的な毛量ではとても無理です。ただ単に髪を縦ロールにしても、ボリュームがないと貧相になってしまいますからね。でも、やり方を考えれば、付け毛を使ってできないことはありません。」
ーーぜひ、そのやり方を教えてください。
Tanie「後ろでくくって、大きなリボンを付けているヘアスタイルなら作りやすいと思いますよ。大きな縦ロールに巻いた状態でも、後ろ髪が背中までかかっているでしょ? つまり、髪の毛の長さとしては、腰まで必要ということなんですよ。だから、リボンの部分から先は、付け毛にするのが現実的です。」
ーー縦ロールはどうやって再現すればいいですか?
Tanie「これは、前も横も後ろも、全体を『内縦巻き』にします。ヘアアイロンで、顔側に向かって巻いていくんです。あと、大切なのが前髪と横の髪。これ、重要です。」
ーー縦ロールだけじゃなくて?
Tanie「そうです。前髪を作らないと、老けて見えるんですよ。ちょっとだけでも、おでこにかかっていないと。お蝶夫人も、センターにくるくるっと、やはり前髪に巻き毛があるでしょ。」
ーーあと、横の髪の毛というのはどの部分を指しますか?
Tanie「耳の前、頬にかかっている髪の毛のことです。これは、1970年代の人気アイドル、麻丘めぐみさんがやって流行した「お姫様カット」と呼ばれるものです。ただのおくれ毛じゃなくて、カットしてワンポイントを作っています。お蝶夫人の場合は、その横の毛も縦ロールにしていますけどね。」
ーーなぜ、横の毛が必要なんですか?
Tanie「かわいいでしょ~。最近の若い子たちの、『触覚ヘア』も同じですよね。前髪の横の髪を顔に沿うようにたらすことで、輪郭や目の横の部分を隠して、小顔にするために作っているんです。あと、アニメやマンガだと、横の髪の毛があったほうが、「動き」が付けられるからでしょうね。お蝶夫人も、あの横の髪の毛や縦ロールがなびくから、テニスの試合でも躍動感や迫力が出ています。」