ガンダムと伝統工芸の「本気すぎる」コラボ、歴史つなぐモチーフになるか?
『機動戦士ガンダム』シリーズのファングッズとして、日本各地の伝統工芸とコラボしたさまざまな商品が発表されています。「九谷焼」「南部鉄器」「浮世絵」など、その「本気すぎる」コラボは単なるグッズの枠を超え、後世に伝統を紡ぐモチーフとしても機能することが期待されています。
ガンダムと伝統工芸品、双方の「強み」を融合

2019年に放送40周年を迎え、さまざまな企業やコンテンツとのコラボやキャンペーンで世間を賑わしている『機動戦士ガンダム』ですが、以前から複数回にわたって、日本各地の伝統工芸を取り入れたコラボ商品が生み出されています。
主な商品は、「日本の伝統や優れた技術をコラボを通じて発信する」ことをコンセプトとし、バンダイが東京と大阪で展開する情報発信基地「GUNDAM Cafe」や、公式通販サイト「プレミアムバンダイ」などで販売されています。
特筆すべきことは、いずれの工芸品も単にキャラクターをモチーフにするだけではなく、伝統工芸品の良さをお互いが引き出し合っていることです。
石川県の加賀百万石の「九谷焼」の絵皿や箸置きでは、モビルスーツや登場人物が色彩豊かに描かれ、彼らの新たな魅力を引き出しています。また、岩手県の伝統工芸品「南部鉄器」の鉄瓶で再現したモビルスーツ「ザク」(頭部)は、鉄本来の持つ重厚感が活かされたコレクショングッズとして発売直後から注目を集めています。
ほかにも、モビルスーツを躍動感あふれる水墨画で描いた「武人画」や、錫(すず)100%で作られる「高岡鋳物」のガンダムぐい呑み、さらには「浮世絵」に「千社札」など、どれもがファンにとって喉から手が出るほど欲しくなってしまうような仕上がりです。
伝統工芸を新たな層に受け継ぐ役割も?

もちろん、このような伝統工芸品とガンダムとのコラボは、プレミアム感の高いグッズをファンに提供するという商品企画の側面もありますが、一方で、技術の伝承や後継者不足といった課題に直面している伝統工芸の担い手にとっても、未来への期待を込めた取り組みと考えられます。
もはや国民的アニメの枠を超え、世界中のファンに愛されている「ガンダム」をモチーフとすることで、アニメファンをはじめさまざまな層に伝統工芸と触れる機会を作り出すことができます。
しかも、このような取り組みはガンダムの商品展開を行う企業だけでなく、伝統工芸の担い手からも動きが起こっています。
2011年には、石川県加賀市の伝統工芸「山中漆器」の若手職人らが「若い世代に伝統工芸品をいかにして伝えていくか」という課題に対し、ガンダムのプラモデル「ガンプラ」を、金箔や漆といった山中塗りの技術で仕上げ、バンダイ主催のガンプラ世界大会「ガンプラビルダーズワールドカップ2011」に参戦しました。
40周年の節目を迎えた『ガンダム』と伝統工芸の本気コラボの可能性が今後どのように広がるのか、注目したいところです。
(マグミクス編集部)