生物・生態学の描写がすごいアニメ3選 生物学の専門家も感銘
DNAの神秘を見せつけた『新世紀エヴァンゲリオン』
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筆者はマクロ生物学の方が好きなのですが、ミクロ生物も面白いと思っています。そのきっかけになったのは、中学生のときに見たアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』(以下、エヴァ)でした。
『エヴァ』は、分子遺伝学やミクロ生物学に出てくる専門用語がたくさん出てきます。劇中の「セントラルドグマ」「A10神経」「ヘイフリックの限界」「スーパーソレノイド(S2機関)」「プリブノーボックス」などが、実際の専門用語あるいはそれをもじった言葉であったりします。
エヴァには、心理学用語、数学用語なども出てきて、それらにも強い興味を引かれましたが、やはり生物系の用語が気になり、辞書などで調べた記憶があります。
特に分子遺伝学用語が多く出てくるのは第13話「使徒、侵入」ですが、これを解説するととても長くなるので、今回は、第23話「涙」に登場する、第16使徒アルミサエル(『エヴァ』に登場する使徒の1体。デーモンから妊婦や胎児を守る天使)についてお話したいと思います。
この使徒は、光る輪っかのような姿をしていますが、実はよく見るとDNAの2重らせんになっているのです。そして、輪っか上のDNAというと、細菌がもつ「プラスミド」と呼ばれるDNA構造が有名です。劇中で、アルミサエルはこのプラスミド状態(輪っか状態)から、1本の紐状になって綾波レイの操るエヴァンゲリオンの体内に侵入し、癒合していきます。
細菌のなかには、「Fプラスミド」を持つものと持たないものがいた場合、持つ方が自らのFプラスミドをコピーして持たない方に与えるという現象が知られています。アルミサエルは超巨大なプラスミドだったのかぁ……と感心した覚えがあります。エヴァンゲリオンは特に、筆者にミクロ生物学への興味関心を抱かせてくれた名作です。