ファンが絶句した二大「全滅エンド」アニメ 視聴率不振で打ち切り?
敵や味方はもちろん、人類がまるごと滅びてしまう「全滅エンド」作品といえば、何を思い出すでしょうか? 『ガンダム』の大ヒット以降、ハードな設定の作品が作られていた1980年代前半の2作品を振り返ります。
視聴者「唖然」のラスト
主人公が死んだり、負けたりするだけでは飽き足らず、敵も味方、さらには人類までも「全滅」させてしまったアニメ作品があります。今回、ご紹介したいのは「全滅エンド」の両巨頭と言ってもいい2作品、『伝説巨神イデオン』と『宇宙戦士バルディオス』です。この両作品には、ある驚きの共通点がありました。
●ラスト1分の衝撃『伝説巨神イデオン』
「全滅エンド」といえば、真っ先に多くの人が思い出すのが『伝説巨神イデオン』でしょう。富野由悠季監督は「皆殺しの富野」という異名がありますが、その恐ろしさがアニメファンの間に知れ渡ったのは本作品あたりからだと思います。
地球人とバッフ・クラン人によるちょっとした行き違いから始まり、誤解が積み重なって、不幸すぎる星間全面戦争が描かれた本作品の最終回は39話「コスモスに君と」。すでにコスモたち地球人類が乗るソロシップ・クルーのフォルモサ・リンや、敵側バッフ・クランから寝返ったギジェ・ザラルらが絶命していましたが、最終回ではついに「イデ」の力が顕現。ヒロインであるカララ・アジバとソロシップのメカニックであるイラ・ジョリバが、バッフ・クランの巨大戦艦にテレポートさせられてしまいます。
カララから妊娠の事実を知らされたカララの父、ドバ・アジバ総司令は激昂。カララの危機を察知したジョーダン・ベス(カララを妊娠させた人)はソロシップを巨大戦艦に特攻させます。激闘の末、カララとジョリバはイデオンによって救出されましたが、ドバが追撃の指令を出した瞬間、「イデ」が発動。宇宙は光に包まれ、地球の人々もバッフ・クランの人々もひとり残らず滅亡して終わりました。
唐突な「全滅エンド」の原因は視聴率低迷による打ち切りです。39話の脚本の最後の1分を富野監督が書き換えて完結させたのです。最終回の脚本を書いた松崎健一さんは富野監督から書き換えを告げられていたものの、テレビの前でラスト1分を見て「えーっ!」と驚いたそうです(『イデオンという伝説』より)。
その後、スタッフが制作を主導、ファンからも熱望された劇場版『THE IDEON 接触篇』と『THE IDEON 発動篇』が公開。最終回の完全版とも言える『発動篇』では、少女のキッチ・キッチンが爆発して四散、幼女のノバク・アーシュラが頭を吹き飛ばされて死亡するなど、徹底した殺戮が行われました。ラストは「イデ」が発動、すべての人間が「因果地平」へと飛ばされていきました。