『スーパーマリオ』は黒歴史を塗り替える? 「日本発ゲーム」映画化は苦闘の歴史だった
映画『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』が、世界的な大ヒットを記録しています。マリオ&ルイージ兄弟、ピーチ姫らおなじみのゲームキャラクターたちが、スクリーン上で大活躍する3DCGアニメです。しかし、日本発の人気ゲームの映画化は、先人たちが苦闘した足跡でもありました。失敗から大成功へ、その歴史を振り返ります。
興収1000億円を突破した『ザ・スーパーマリオ』

陽気な配管工の兄弟、マリオ&ルイージが大活躍する人気ゲーム「マリオブラザーズ」がアニメーション映画『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』となり、世界的な大ヒット作となっています。全米では2023年4月5日に封切られ、公開2週間で興収908億円を記録。4月24日には世界興収1000億円を突破しています。
アニメ映画史上最高のオープニング成績となった『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』は、『ミニオンズ』(2015年)などで知られる米国のアニメスタジオ「イルミネーション」と日本のゲーム会社「任天堂」が共同で制作した作品です。日本では今週4月28日(金)より、いよいよ劇場公開されます。
自信家のマリオと心配性のルイージとの兄弟愛、ピーチ姫の意外なアクティブさ、キノピオのかわいらしさは、日本でも話題になることは確実でしょう。
一方、『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』の大成功に至るまでには、日本のゲームを原作とした映画たちが歩んだ苦難の道のりがありました。世界を魅了した「マリオブラザーズ」をはじめとする、日本発の人気ゲームの映画化の歴史を振り返ります。
デニス・ホッパーが怪演したハリウッド実写版

1983年に「任天堂」から発売されたゲーム『マリオブラザーズ』は、全米でも大ヒットしました。この人気に目をつけたハリウッドは、実写映画『スーパーマリオ 魔界帝国の女神』(1993年)を制作します。
主人公のマリオは、実写とアニメを融合させた『ロジャーラビット』(1989年)にも主演した名優ボブ・ホプキンス。そして、恐竜帝国の独裁者・クッパには、『イージーライダー』(1969年)や『ブルーベルベット』(1986年)で知られる怪優デニス・ホッパーが扮しています。
制作費50億円を投じた大作映画『スーパーマリオ』でしたが、興収的には残念な結果に終わりました。とはいえ、SF映画の名作『ブレードランナー』(1982年)の美術を手掛けたデビッド・スナイダーが生み出した恐竜帝国は、サイバーパンク感にあふれた魅力ある世界となっています。
親日家でもあったデニス・ホッパーは、5度結婚して、4人の子供がいました。まだ幼かった我が子を喜ばせるために、出演オファーを受けたようです。1日3時間を要した特殊メイクで、デニス・ホッパーはクッパになり切っています。
ゲームとは異なる設定・世界観になってしまった実写版『スーパーマリオ』ですが、今では映画マニアたちから愛されるカルト的な作品となっています。