何でもアリの平成仮面ライダー その根底に「不変の設定」と石ノ森章太郎の「魂」?
仮面ライダーも敵も、その力の根源は同じ
残されたさまざまなラフデザインは、石ノ森先生自身が従来のイメージにとらわれることなく、新たな発想で仮面ライダーを創造していた記録ではないでしょうか。多彩な平成ライダーのデザインは、固定観念に囚われない、石ノ森先生の精神を受け継いだものと考えられます。
見た目や基本設定がそれぞれ大きく異なる平成ライダーたちですが、実は第1作目の『仮面ライダー』と通底している大きな要素が存在します。それは「仮面ライダーと敵怪人の力の根源が同じ」という点です。
平成ライダー作品を数多く手掛けた東映の白倉伸一郎さんは、この要素のことを「同族同士の争い」と表現し、『仮面ライダー』の根底にある特徴としています。仮面ライダーも、彼が戦う敵の怪人も、悪の組織ショッカーによって改造された存在です。平成ライダーはこの仮面ライダーの基本設定をとらえ直し、仮面ライダーと敵怪人の力の根源は同じ、という設定を柱にしています。
白倉さんが直接関わっていない『仮面ライダー剣』や『仮面ライダーW』、『仮面ライダーオーズ/OOO』『仮面ライダーウィザード』といった作品でも、この要素は徹底されています。また『W』や『オーズ/OOO』などの作品では、ライダーも敵も、USBメモリやメダルといった共通のアイテムを使用しています。アイテムを用いることで、「力の根源が同じ」という設定をわかりやすく表現しているのではないでしょうか。
斬新なデザインや設定にさまざまな意見が寄せられることが多い平成仮面ライダーですが、昭和の仮面ライダー1号から変わらない設定要素と、石ノ森章太郎先生の精神を確実に受け継いでいるのです。
※本文を一部修正しました。
(森谷秀)