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買う前から「知名度抜群」だったスーファミゲーム 中身は「悪い意味で想像以上」?

ファミコンから大幅に性能が向上したスーパーファミコンにも、「パケ買いしたら内容が面白くなかった」「原作再現を期待したのにストーリーが全然違う」……など、前評判とは裏腹にクソゲー扱いを避けられなかったソフトがありました。いろんな意味でプレイヤーに衝撃を与えたゲーム性とは?

買ってから後悔!思っていたのと違った残念ソフト

1993年3月5日発売の『ジョジョの奇妙な冒険』(カプコン)は、同名の人気漫画に基づくキャラクターゲームだが、第3部の内容が大きく改変されている
1993年3月5日発売の『ジョジョの奇妙な冒険』(カプコン)は、同名の人気漫画に基づくキャラクターゲームだが、第3部の内容が大きく改変されている

「発売前は期待できそうな内容だったのに、実際に遊んでみると面白くなかった」という経験は、誰しも一度は覚えがあるのではないでしょうか。

 現在であればインターネットやSNSなどで手軽に情報を集めることもできますが、1980年代から1990年代の時期は現在ほどネット環境が普及していなかったため、一般のプレイヤーにとって情報収集の手段には限りがありました。それゆえ、「パッケージが格好良いから面白そう」「原作が人気だからきっと出来が良いはず」と、何となくゲームを手に取り、あとになって後悔する……といったパターンが多く見られたのです。

 今回は、期待度とは裏腹にクオリティ面でクソゲー扱いされたスーパーファミコン(以下、SFC)用ソフトを3本紹介します。

●原作キャラが登場も、物語は改変されすぎて……『ジョジョの奇妙な冒険』
 世代を越えて一族の戦いを描いた人気マンガで、2023年現在も新章が連載中の『ジョジョの奇妙な冒険』が1993年にゲーム化されています。1993年3月5日発売の『ジョジョの奇妙な冒険』は、原作における第3部を題材とし、ジョースター家の血を受け継ぐ「空条承太郎」一行と宿敵「DIO」の因縁を原作さながらに描写……するはずが、逆に原作のストーリーや登場キャラクターを無視した超展開でユーザーのド肝を抜きました。

 香港のタイガーバームガーデンではなく、なぜか空条家の近所(しかも古本屋)で承太郎に襲いかかってくる「ポルナレフ」(シルバーチャリオッツ)。学校の用務員として生徒の舌を引き抜き、承太郎の命を狙う「グレーフライ」(タワーオブグレー)など、序盤の一部分だけでも相当数の変更点があり、原作ファンからツッコまれること間違いなしの展開が続きます。

 原作改変はゲーム後半もとどまるところを知らず、「イカサマを全く仕掛けてこないダービー兄」、「イギーが砂漠のピラミッドで承太郎たちと対決する」など、枚挙にいとまがありません。「DIOを倒して全員が無事生還を果たす」というグッドエンディングを収録しているものの、版権を扱ったゲーム作品において重要な「原作再現」の観点から見ると、本作が大きく逸脱しているのは間違いありません。

 ゆえに、「ジョジョ3部の原作再現が楽しめる」と期待して買ったユーザーは、おそらく数多の改変ポイントを見て疑問や不信感を抱くことになったのではないでしょうか。

●終盤で加わる仲間が足を引っ張って……『3×3EYES 聖魔降臨伝』
「ヤングマガジン」で1987年から2002年まで連載されたマンガ『3×3EYES(サザンアイズ)』の世界観に基づいたSFC用RPGが『3×3EYES 聖魔降臨伝』(1992年7月28日発売、以下、聖魔降臨伝)です。メインヒロインでありながら三つ目の妖怪「パイ」、そしてパイと一心同体の不死人である「藤井八雲」が登場し、一部異なるオリジナル展開を交えながら原作のストーリーが描かれています。

『聖魔降臨伝』は原作の人気が高かったにも関わらず、肝心のクオリティがいまひとつで、クソゲーの烙印を押されてしまいました。

 その原因は、必ずしも快適に遊べるとは言えないゲームバランス、システム面の調整不足にありました。その傾向が顕著にあらわれているのが、原作で八雲とパイが一蓮托生であることを意識したゲームオーバーシステムです。八雲以外の誰かが倒れると問答無用でゲームオーバーになり、最後にセーブした地点へ戻されてしまうのです。

 そして、この仕様が悪い意味で効果的に作用しているのが本作のラストダンジョン。最終決戦前にパーティーへ加わった仲間「グプター」は初期レベルが低く、ザコ敵との戦闘でも油断すれば即死が免れません。

 もちろんラスボスはザコ敵よりも手強いため、対策もなしに挑めばゲームオーバーは目に見えています。そこでグプターの育成が必要になるものの、どういうわけか戦闘後にもらえる経験値が少ないため、レベルを1上げるために雑魚敵と何度も戦わなければならなかったのです。

 ラストダンジョンに一度入るとセーブもできないので、いつゲームオーバーになるか分からない緊張感のまま、グプターのレベルが上がるまでひたすら戦闘を繰り返すはめに。こうしたトラウマ要素が不評を呼んだからか、『聖魔降臨伝』は原作を愛好するプレイヤーの不満を刺激する結果となりました。

1994年3月4日発売の『ジーコ サッカー』(エレクトロニック・アーツ・ビクター)は、サッカー世のレジェンド・ジーコ氏を冠したスポーツゲームだが、操作性や収録モードの不備が目立つ
1994年3月4日発売の『ジーコ サッカー』(エレクトロニック・アーツ・ビクター)は、サッカー世のレジェンド・ジーコ氏を冠したスポーツゲームだが、操作性や収録モードの不備が目立つ

●パスを1本通すのも至難の業……『ジーコ サッカー』

 ブラジル生まれのサッカー選手で、Jリーグ創成期の鹿島アントラーズで活躍し、日本代表の監督をつとめたことでも知られるジーコ氏。彼がプロモーション面で参加した『ジーコ サッカー』(1994年3月4日発売)は、「マウスカーソルを用いて選手へリアルタイムに指示を出す」(ポイント&クリック)という、当時のサッカーゲームにおいて異例のシステムを採用していました。

 しかし、選手を直接操ってゴールを狙う従来のサッカーゲームよりも特殊なぶん、慣れるまで相応の時間が必要だったのも事実です。

 加えてマウスカーソルの挙動がお世辞にもスムーズとはいえず、思った通りに選手を動かすことができず、いつまで経ってもパスの一本さえ通すことができない……といった状況も珍しくありません。また、スポーツ作品にとって必須であろう「対戦モード」がないという点も不評の原因とされています。

(龍田優貴)

【画像】ある意味「良い時代?」 玉石混交だった「スーファミ」のキャラクターゲーム(6枚)

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