ホワイトベースの「地味な脇役」だったジョブ・ジョン 人生の転機は「一年戦争」後から?
『機動戦士ガンダム』にはアムロ・レイたちメインキャラ以外にも数多くのキャラクターが登場し、作品を彩っていました。今回はそれらのキャラクターの中で貴重なバイプレイヤーとして皆を支えたジョブ・ジョンの活躍を振り返ります。
ホワイトベースの何でも屋
『機動戦士ガンダム』でアムロ・レイたちの母艦となったホワイトベースでは、素人同然の若者たちが慣れない軍務につき、生き延びるために働き続けていました。今回はそのなかのひとりであり、「何でも」屋として活躍したジョブ・ジョンに焦点を当てます。
初代『機動戦士ガンダム』のリピーターであれば、ジョブ・ジョンと聞いて「ああ、あのキャラね!」とすぐに思い出すことができるでしょうが、正直な話「誰? そんな人いたっけ」と考えてしまう方もいるでしょう。
金髪が特徴の男性で、モビルスーツの予備パイロットだった人物です。軍人として正規の訓練を受けた、ホワイトベースのクルーの中では希少な存在で、ガンペリーやガンタンクのパイロットや砲手、歩哨、ランバ・ラル隊相手の白兵戦など、さまざまな局面で働きを見せていました。
基本的にストーリーに直接関与する役柄ではありませんが、第17話「アムロ脱走」では捕虜としたコズンを独房へと連れて行く場面で登場しています。
またこの回ではブライトとミライがアムロをガンダムから降ろす話をしている際に、ガンダムを任せる候補のひとりとしてジョブの名前が出てきており、戦力として考えられていることも見て取れます。
そんなジョブ・ジョンが最も目立った場面と言えるのが、第21話「激闘は憎しみ深く」になるでしょう。第20話「死闘!ホワイトベース」でランバ・ラル隊と戦い重傷を負ったリュウ・ホセイに代わり、ガンタンクの操縦手を務めることになったジョブ・ジョンですが、マシントラブルに対応できず、立ち往生してしまいます。
そこに駆けつけたリュウにパイロットの座を譲り、コア・ファイターの出撃を見送りますが、結果としてリュウはクラウレ・ハモンのマゼラトップに特攻して戦死。ホワイトベースはかけがえのない人間を失う結果となりました。
コア・ファイターとマゼラトップの残骸を前に、膝をついて座り込んだジョブ・ジョンは「僕が殺したのも同じです。僕が代わらなければ……リュウさんだって……リュウさんだって死なないで!」と慟哭します。しかし他のホワイトベースのクルーたちは、皆が未熟だったためリュウに負担をかけ過ぎていたことを理解し、ジョブ・ジョンを責めることはなかったのです。