【春アニメ最終話】『消滅都市』ーもし不幸が起こらない世界を選べるとしたら?
2019年4月から放送が始まったTVアニメ『消滅都市』が12回の最終回を迎えました。人気スマートフォンゲーム原作のアニメ化として注目を集めていたアニメ版の最終話から、作品の見どころを振り返ります。
最大の謎、消滅都市(ロスト)が明らかに
2019年4月から放送が始まった『消滅都市』は、スマートフォン用ドラマアクションゲームを原作とした全12回のTVアニメです。人気ゲーム待望のアニメ化作品として期待を背負いつつ、6月23日に最終回を迎えました。
突如、渋谷の街に爆発現象が起こり、「ロスト」と呼ばれるようになった衝撃的な第1話から物語は始まり、謎の少女ユキ(CV:花澤香菜)と少女を運ぶ運び屋タクヤ(CV:杉田智和)を中心に、非常に早い展開でストーリーが展開されました。
異能力を使った集団とのアクションシーンなども見どころですが、同作が観る者を引き込む最大の魅力は、ロストをめぐる「謎」の数々です。アニメ各話の放送ごとに、それらの「謎」が考察サイトなどで話題になりました。
もちろん、原作ゲームでも完全に解決していない「謎」が残っているため、アニメ版で完全解決とはならなかったのですが、都市一帯が消滅する「ロスト」が、平行世界をつなぐために起こったものであると明かされました。
最終回では、ユキ自身が「世界を選べる」観測者であったことが明らかになり、ロストが起こった「現在の世界のまま」と、ロストが起こらなかった「かもしれない世界」という、ふたつ並行世界ーーどちらの世界を選ぶか? という決断を下すことになります。
果たして、ユキがとった選択は「選べない」「選ばない」というものでした。それはすなわち、ロストが起こった世界を選ぶということになってしまいます。
ユキが幸福な世界を選び、ロストが起こった世界を否定してしまえば、その世界に生きている人、いなくなってしまった人、全てを「不幸」という名の檻に閉じ込めてしまうことになってしまいます。アニメ『消滅都市』の物語の核心は、この「選択」にあったと考えることができるのです。
ついに最終話となってしまいましたが、ゲーム版最新作「AFTERLOST – 消滅都市」も6月6日からサービスを開始し、『消滅都市』というコンテンツはまだまだ続いていきます。アニメ版も、タクヤの消息やユキの未来など、第2期を作る要素はたくさんあります。『消滅都市』の今後の展開に期待がふくらみます。
(二木知宏)