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「幻の大作」と呼ばれた実写版『火の鳥』 若山富三郎、草刈正雄ら豪華俳優が共演

1978年に全国公開された市川崑監督の『火の鳥』は、豪華キャストを擁した話題作でした。巨匠・手塚治虫先生がライフワークとして描き続けた、『火の鳥』の初めての映画化作品です。公開当時の興収はいまひとつでしたが、名優たちの演技には目を見張るものがあります。続編として企画された『火の鳥2772 愛のコスモゾーン』も併せて紹介します。

市川崑監督が撮ったファンタジー大作

映画『火の鳥』Blu-ray (C)1978 東宝/手塚プロダクション
映画『火の鳥』Blu-ray (C)1978 東宝/手塚プロダクション

 GWは自宅でゆっくりと、見逃していた映画や懐かしいマンガを楽しみたい。そんな人におすすめの一本があります。手塚治虫先生の名作マンガを実写映画化した、市川崑監督の『火の鳥』(1978年)です。

 若山富三郎、草刈正雄、林隆三、大原麗子、由美かおる、高峰三枝子、草笛光子、江守徹、仲代達矢ら、そうそうたる豪華キャストを配し、東宝系で全国公開されたファンタジー大作です。『犬神家の一族』(1976年)を大ヒットさせた市川崑監督の意欲作でしたが、長年にわたってパッケージ化されなかったため、「幻の超大作」とも呼ばれていました。

 2021年12月にようやくBlu-ray&DVD化され、現在はAmazon Prime ビデオでも配信されており、気軽に視聴することができます。マンガ史に残る名作の初めての映画化となった、市川崑監督による実写版『火の鳥』の見どころを紹介します。

実写版『火の鳥』が不評だった理由

 永遠の命を持つ不思議な生命体・火の鳥をめぐる、人類と宇宙の歴史を俯瞰して描く壮大なスケールの物語『火の鳥』は、「黎明編」「未来編」「ヤマト編」「宇宙編」……と、過去と未来を往復する形でマンガ連載が続きました。市川崑監督は第1部となる「黎明編」を映画化しています。女王・ヒミコが治める古代の日本が舞台です。

 手塚治虫作品でおなじみ、鼻の大きな猿田彦は若山富三郎さんが特殊メイクで扮しています。猿田彦と不思議な縁で結ばれる少年・ナギは、『転校生』(1982年)や『時をかける少女』(1983年)で注目を集めることになる、尾美としのりさんです。尾美さんは当時13歳。大物俳優たちを前に、堂々とした演技を披露しています。ナギと仲良くなるオロは、風吹ジュンさん。若き日の風吹さんのワイルドな美しさも要チェックです。

 映画はオープニングクレジットから目が離せません。「脚本・谷川俊太郎、テーマ音楽・ミッシェル・ルグラン、衣装デザイン・コシノジュンコ」といった大物スタッフや豪華キャストが、シャレた意匠でクレジットされています。庵野秀明監督の人気アニメ『新世紀エヴァンゲリオン』を思わせますが、もちろん市川崑監督が本家です、念のため。

 熊本県阿蘇山で撮影された雄大なロケーションを背景に、永遠の命を求める人たちの愛憎劇が繰り広げられます。山犬の襲来シーンや火の鳥は、アニメーションで描かれています。

 ちなみに本作が公開された1978年8月は、ジョージ・ルーカス監督の『スター・ウォーズ』(1977年)が7月に日本で公開されたばかりでした。米国の最新SFXの前では、実写とアニメの合成は、見劣りして感じた人も少なくなかったようです。公開のタイミングの悪さもあって、興収は期待されたほどは伸びませんでした。

 長らくソフト化されなかったのは、公開当時の評判が著しくなかったことも要因だったと思われます。今なら、もっと優しい目で鑑賞できるのではないでしょうか。

【画像】手塚治虫作品の実写化は意外と多い? パッケージを見たら「誰?」(7枚)

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