VR店員がTシャツを販売!? オシャレの聖地・原宿で起きていた「奇跡」とは
オリジナルTシャツを販売しているのに、販売員は「無人」というイベントが2019年5月、東京・原宿で開催されました。会場は販売員がいないかわりに、「バーチャル店員」が接客。来場者との交流がたくさん生まれ、大盛況だったといいます。会場で何が起こっていたのでしょうか。
リアル店員のいない「無人販売」…その結果は?

2019年5月26日、8人のクリエイターがデザインしたTシャツをバーチャル店員が販売するという、1日限りのポップアップ・ストア「バーチャルリアルT」が東京・原宿で開催されました。
同イベントは、会場に設置された大画面のモニターに映し出されたバーチャルキャラクターがお客さんとコミュニケーションを取りつつTシャツを販売するというものですが、それらのキャラクターの「中の人」は、販売しているTシャツをデザインした本人たちなのです。
バーチャルキャラクターを介してTシャツを販売するデザイナーは、会場までの距離といった制約を受けずに、直接お客さんとコミュニケーションができるのですが、イベントは大盛況。デザイナーとファンの双方から、「バーチャルリアルT」の次回開催を期待する声がたくさん寄せられたといいます。
大切なのは、バーチャルとリアルを区別しないこと

バーチャル店員が接客をするという初めての試みに、「開催して初めてわかったこともたくさんあった」と、イベントを企画したヒューマンフォーラムの担当者は話します。
まず、会場全体が終始なごやかであったこと。
今回の企画自体がデザイナーとファンの交流を目的としていましたが、バーチャルの店員は物理的に来場者へ近寄ることができません。お客さんに近づいて商品をすすめてくるショップ店員のような圧迫感がないことは、コミュニケーションを円滑にすることに大きな影響を与えたようです。
また、来場者が「お目当て」のデザイナー以外の出店者が手がけたTシャツを購入するケースもあったといいます。バーチャルのアバターを通じて販売側と購買側が互いに話しやすい環境ができた結果、販売促進につながったケースととらえることができます。
「バーチャルリアルT」は、「キャラクターと人間、そしてバーチャルとリアルの区別をしないこと」をコンセプトにが掲げていましたが、フタを空けてみれば、そのコンセプトをそのまま実現する結果となり、リアルな店員がいないのに、来場者と販売者の交流がより深まるという、小さな「奇跡」が起こっていたのです。
新しい文化をどんどん取り入れ、ファッションのトレンドを世界に発信する街・原宿で、服の作り手と買い手がVR技術で交流した「バーチャルリアルT」の試みは、新しいコミュニケーションとビジネスの可能性を示しているといえそうです。
(マグミクス編集部)