『逆襲のシャア』ジオンのパイロットがアクシズを押し戻そうとした「本当の理由」は?
地球を破壊することに「罪悪感」が?

軍人は命令に忠実な存在です。自分が死ぬとわかっている命令であっても従う事例は珍しくありません。アムロをはじめとする押し返しに参加した地球連邦側の人間の意志が伝わったからといって、アクシズを落とすための作戦に参加していたネオ・ジオンのパイロットが、即座に押し返しに参加するのは難しいでしょう。
しかし、実は彼らがアクシズ落としに反対していたとなれば話は別です。地球の環境が破壊され、人が住めなくなれば新たに多くの人間が宇宙へと上がるはめになり、大きな混乱がもたらされるのは目に見えています。住居や食糧の不足にも悩まされるでしょう。『逆襲のシャア』を手掛けた富野監督がのちに作った『Gのレコンギスタ』では、宇宙世紀は結局破滅的な最期を迎え、人が人を喰う世の中となっていたことが示唆されています。
未来は定められてしまっていますが、もし時代の転換点となるアクシズ落としの現場にひとりの人間として存在していた場合、喜んで地球の破壊に手を貸せるかというと、大きな迷いが生じるのは当然でしょう。もしかしたら、恐怖を感じているかもしれません。
他者の意志に共感するのは、何かしらの共通する意思や考え、人間性がどうしても必要となります。アクシズを押し返して地球を救おうとする意志に共感したということは、ネオ・ジオンの兵士のなかに「地球は大切なものだ」と感じる何かがあったのだと考えるのが自然です。「やってみる価値がある」という言葉からも、それが裏付けられているでしょう。
自分の意志を押し殺し、命令に従ってアクシズ落としに参加していた兵士であれば、目の前で「地球を救う戦い」を目の当たりにすれば喜んで参加してもおかしくはありません。
もしかしたら、ニュータイプがサイコ・フレームを使用し共振を行えば、人はひとつになれるという演出のために、ネオ・ジオンの兵士も推し返しに参加しただけなのかもしれません。それでもなお、筆者は兵士の心のなかに眠っていた意志や心が彼らを突き動かしたのだと、思わずにはいられないのです。
(ゆうむら)




