途中離脱組はもったいない? 長寿マンガ「90巻以降」で起きたサプライズ展開
100巻以上続く国民的マンガは、それだけ「途中離脱組」も多いです。今回はそんなマンガのなかで、「ガチ勢」だけがたどり着けた90巻以降に明かされた超展開をご紹介します。
ガチ勢の驚きは計り知れない?
近年は、何十年も連載される長寿マンガがどんどん増えています。単行本が50巻以上どころか、当然のように100巻を超える作品もしばしばです。そうした作品は基本的に「国民的人気マンガ」であることは間違いないのですが、長さゆえに「途中退席」してしまった読者も少なくないでしょう。
実際、子供から大人になるまで毎週、連載を追い続けることは、ライフステージの変化もあり、なかなか難しいことです。しかしながら、こうした長寿マンガのなかには、「90巻以降」に、「ガチ勢」だけがたどりつけるとんでもない「サプライズ的展開」を用意していた作品もありました。
※この記事では『名探偵コナン』『ONE PIECE』『美味しんぼ』『刃牙』シリーズ、『はじめの一歩』のネタバレを含みます。
●『名探偵コナン』は95巻で「ボス」が判明!そして蘭と新一が?
記事配信時点で103巻が刊行されている『名探偵コナン』(著:青山剛昌)は、安室透の爆発的人気や、黒の組織との一連の謎が徐々に明るみになるなど、話題に事欠かず連載が続いています。そして、物語の傍流には常に、毛利蘭と工藤新一との付かず離れずな「ラブコメ要素」があったことは途中退席組もご存知の通りでしょう。
とはいえ、新一は基本的に小学生のコナンの状態で暮らしているため、蘭と新一の関係が進展することは、物理的にも非常に難しい状況にありましたが、95巻でついに話が動きます。一時的に元の姿に戻った新一は、京都の修学旅行へ参加しました。随分前に新一は蘭に想いを伝えてはありましたが、その返事として旅行の最後に蘭が新一の頬にキスをします。
以降、ふたりは「お付き合い」していることになるのです。なお、この95巻は黒の組織のボスが明かされる、とても重要な巻でもあります。
●『ONE PIECE』は103巻でルフィの「ゴムゴムの実」の真実が明かされる
現在、105巻まで刊行されている『ONE PIECE』(著:尾田栄一郎)も、最終章に入ってから毎話のごとく、とんでもない「超展開」が日本中を騒がせています。その少し前、「ワノ国編」の終盤でファンが度肝を抜かれたのが、103巻で明かされた「ゴムゴムの実」に関する衝撃の事実でした。
ルフィが第1話で食べた悪魔の実「ゴムゴムの実」の正体は、「ヒトヒトの実 幻獣種 モデル『ニカ』」であることが判明したのです。ここだけ切り取ると、なかには「幻獣種ってそもそも何?」となる人もいる途中退席組は、何を言っているかさっぱりわからないかもしれませんが、毎週追ってきたガチ勢だけは、四半世紀をかけて明かされた真実に(多少困惑もありつつ)打ち震えたのでした。
●『美味しんぼ』は102巻でついに山岡と雄山が……
111巻まで刊行されているグルメマンガの金字塔『美味しんぼ』(原作:雁屋哲 作画:花咲アキラ)は、グータラ新聞社員、山岡士郎とその父で美食の鬼・海原雄山との美食をめぐる父子対決を何十年にも渡り描いてきた作品です。しかし、山岡の「究極メニュー」作りの相棒であり、後の妻である栗田ゆう子の尽力もあり、徐々に親子の関係は改善されていきました。
ただし、その速度はあまりにも緩やかで、47巻の栗田と山岡の披露宴において父子は間接的な対話を果たし、一気に和解が進むかと思いきや、「一応の和解」に至るまでは、そのはるか先の102巻まで待たなくてはならなかったのです。この歴史的和解は当時、ネットニュースでも大きく取り上げられ話題を呼びました。
その他、『美味しんぼ』と並ぶマンガ界の「因縁の親子」であった、格闘マンガ『刃牙』シリーズの範馬刃牙とその父・勇次郎は、シリーズ通算113巻目(外伝3巻含む)となる『範馬刃牙』37巻にて、「エア味噌汁」によって「和解」を迎えています。また、「週刊少年マガジン」で30年以上連載されているボクシングマンガ『はじめの一歩』では、主人公・幕ノ内一歩が歴戦のダメージもあって121巻(2018年発売)で「引退」し、セコンドとなってから「復帰」に向けて物語が徐々に進んでいる状態です。
漫画家は読者と真剣に向き合っており、読者もまた真剣にマンガに向き合っております。長大な時間が経過して訪れる意外な展開は、ガチ勢だけが心の底から楽しめる最高のサプライズなのです。
(片野)