マグミクス | manga * anime * game

『キカイダー01』放送開始から50年 シリーズ化すれば「特撮の歴史」は変わった?

人気作品だった前作の世界観を引き継いで1973年に放送された特撮番組『キカイダー01』は、人気だったキカイダーとハカイダーをレギュラーとして続投させ、さらにビジンダーとワルダーという新キャラを生み出しました。その人気の秘密を振り返ってみましょう。

前作主人公と並んでも遜色なかった新ヒーロー

主人公・キカイダー01を立体化した、「Ultimate Article 人造人間キカイダー キカイダー01 完成品フィギュア」(メガハウス)
主人公・キカイダー01を立体化した、「Ultimate Article 人造人間キカイダー キカイダー01 完成品フィギュア」(メガハウス)

 本日5月12日は、1973年に特撮ヒーロー番組『キカイダー01』が放送開始した日です。今年2023年で50周年にあたります。人気番組だった前作『人造人間キカイダー』の続編として製作された本作は、その人気を受け継いで当時の子供たちを熱狂させた作品でした。

 本作は前作『キカイダー』と同様に当時のオバケ番組だった『8時だョ!全員集合』に対抗するために製作されています。そのため、土曜日20時台という今では考えられないような時間帯の子供番組でした。子供の就寝時間はだいたい21時くらいからでしたので、ギリギリの時間、翌日が日曜日で学校が休みだから許された放送時間だったと思います。

 前述のように前作『キカイダー』の人気が高かったことから製作が決まった本作でしたが、続編として異例の展開がありました。それが前作主人公であるキカイダーが前半レギュラーとして登場したことです。

 本作の主人公であるキカイダー01は、キカイダーの兄にあたる人造人間で、仁王像のなかで悪が動き出すまで眠っていた存在でした。そういった点からも前作との設定的な関連性は高く、キカイダーの登場はそれほど不思議なことではありません。

 しかし、続編とはいえ番組タイトルを変えた作品で、前主人公がレギュラー登場するのは近年までの作品を振り返ってもあまり例がなく、ほぼ毎週にわたってキカイダーと01の兄弟ヒーローの共闘が見られたのは、子供にとって夢のような展開でした。

 あえて例を挙げれば、ウルトラマンや仮面ライダーのようにゲストとして前作までのヒーローが登場するフォーマットはありましたが、レギュラーとなると扱いが難しくなるのが必定です。それは前主人公が活躍すればするほど、現主人公が目立たなくなるからでした。しかし本作の主人公の01ことイチローは、ヒーローとして弟のジローとそん色ないキャラクター性を持っており、両雄が並び立てるほどの存在だったのです。

 このイチローを演じた池田駿介さんによると、鞍馬天狗を意識したヒーロー然としたキャラクターとしてイチローを演じていたとのこと。これには前作のジローが悩むヒーローとして終始したため、TV版では頼れる兄貴分的なキャラクターとしてイチローを設定したことが要因にあります。

 しかし、原作者である石森章太郎(後の石ノ森章太郎)先生による萬画版では、イチローはまったく異なる性格をしていました。後年、それを知った池田さんは石ノ森先生にまったく違うキャラクターとして演じたことを謝罪したそうです。ところが石ノ森先生は、「原作は原作、TV版のキャラは役者の個性に合せればいい」と言いました。その言葉に池田さんは思わず涙したそうです。

 このイチローに強い愛着のあった池田さんは、後に「ゼロワン・チェーン」という大判焼きの店を経営したこともありました。そして2010年に亡くなられた際は、日本をこえると言われたほどのキカイダーブームに沸いたハワイでお別れ会と散骨をしたそうです。

【画像】半世紀前とは思えない? カッコ良すぎる「キカイダー01」の立ち姿とメカ(5枚)

画像ギャラリー

1 2 3