初代『ゼルダの伝説』に「難しすぎ」の声が集まる理由 ファミコン時代では「普通」だった?
2023年5月12日は人気ゲーム『ゼルダの伝説』の最新作の発売日です。新作『ゼルダの伝説』に注目が集まる一方で、1986年に発売された初代『ゼルダの伝説』は、現代のプレイヤーには「難しする」との声もあがっています。
いま「初プレイ」しようとすると「難しい」?
2023年5月12日(金)に「ゼルダの伝説」シリーズ最新作『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』が発売されました。世代を超えて愛される作品の最新作に注目が集まるなか、最近のゲームプレイヤーから「難しすぎる」との声があがっているのが、1986年に発売された初代『ゼルダの伝説』です。
世界でも圧倒的な評価を集め、シリーズ化の起点となった『ゼルダの伝説』ですが、一部には難しすぎて「クソゲー」という声もあがっています。
ですが、発売当時にファミリーコンピュータ(ファミコン)で遊んだことのある人で、「難しくて投げ出したくなる」といった記憶を持つ方は、それほど多くないのではないでしょうか。なぜ現代から見ると「難しい」と感じるのか、その理由を考えてみます。
まず思い当たるのは、「ノーヒントな謎解き要素」です。『ゼルダの伝説』が発売された時代には、現代のようなインターネットやSNSはありません。攻略のヒントは友人からの情報か、ゲーム雑誌あるいは攻略本に頼るしかありませんでした。
例えば、あるダンジョンの入り口を見つけるためには「ロウソクで木を燃やす」という謎解きが必要なのですが、攻略情報がなければ大量の木にひとつひとつ火をつけて探していくしかなく、苦行のような作業を強いられたプレイヤーもいるようです。他にも、ゲーム中にヒントがない謎解きが多くあり、プレイヤーの行く手を阻んでいます。
逆に、「最初からできることが多すぎて迷ってしまう」点も、いまのプレイヤーを悩ませる要素のひとつです。現代では多くのゲームで、操作方法に慣れるためにチュートリアルが用意されていますが、初代『ゼルダの伝説』にはありません。
しかも、物語の進行度合いに関わらず、最初から強い敵が現れる場所へと移動できるのです。そのため、ゲームを開始して文字通り「右も左もわからない」状態のまま適当に移動していると、とてつもなく強い敵がいる場所に行ってしまい、全く歯が立たずにゲームオーバーになった……といった声もあがっています。
また、「マップが広すぎて移動が大変」という声もあります。当時としては広大といえる128画面分のマップに壮大な冒険を感じるファンがいる一方で、「何をしたらいいかわからない」「移動が大変」と嘆くプレイヤーもいます。
しかも、やっとの思いでたどり着いた先で敵に負けてしまうとゲームオーバーとなり、マップの初期位置まで戻されてしまいます。この点も、「難しい」とプレイヤーに感じさせる要素といえるでしょう。
付属の「取り扱い説明書」に攻略情報があった
もちろん、いまから初代『ゼルダの伝説』をプレイしようとするなら、攻略に必要な情報はネットですぐに手に入りますが、あえてそれを見ないで自分の力で攻略したい……と考えていきなりゲームをスタートさせてしまうと、あまりのヒントの少なさに困惑してしまうのも無理はありません。
一方で、発売当時の『ゼルダの伝説』付属の説明書には、操作方法や敵キャラ、アイテムなどの説明に加えて、フィールドの歩き方やゲーム序盤のダンジョンまでの道案内や進み方など、初心者に向けた情報が多く掲載されていました。
当時遊んだ子供たちも、おそらくゲーム内容は難しいと感じたかもしれませんが、この説明書の内容や雑誌・攻略本の情報、そして学校などで友達と交換した情報などをヒントに、初代『ゼルダの伝説』の冒険を楽しんでいたのでしょう。
攻略は簡単ではないけれど、美しい旋律のBGM、アイテムを集め、謎を解き明かしていく達成感、ダンジョンのボスと戦う時の緊張感などに魅了された記憶を持つ人も多く、初代『ゼルダの伝説』を名作だと評価する声も多いです。同作は現在、Nintendo Switch Onlineの特典として遊ぶことができ、任天堂公式サイトでは「発売当時の取扱説明書」も公開されています。興味のある方は、少ないヒントを頼りに「原点回帰」してみてはいかがでしょうか?
(LUIS FIELD)