意味がわかると恐すぎる!?『トイ・ストーリー』作品のホラーな魅力
2019年7月12日(金)から、最新作『トイ・ストーリー4』の劇場公開が始まります。幅広い層に愛されている『トイ・ストーリー』シリーズですが、明るく楽しいシーンだけではありません。観た人の心に爪痕を残す、人気シリーズの「怖い」側面の魅力に迫ります。
子どもの「残酷さ」リアルに描いた第1作
フルCGアニメ『トイ・ストーリー』といえば、子どもから大人まで世界中で愛されている、ピクサー制作の大人気シリーズです。これまでは、主人公であるカウボーイ人形のウッディと持ち主である人間の少年・アンディとの友情が描かれてきましたが、8年ぶりとなるシリーズ第4弾『トイ・ストーリー4』は、ウッディをはじめとするオモチャたちのその後の物語となっています。
第1作『トイ・ストーリー』(1995年)の公開から、すでに24年。子どもの頃に夢中になった世代も、すっかり大人になっています。ウッディたちが子ども部屋を飛び出して大暴走する一方、持ち主であるアンディへの思慕にもあふれたハートウォーミングな作品ですが、どんなに時間を経てもファンの心をつかんで放さない面白さは、それだけではありません。
イノセントな存在として描かれがちな子どもたちの残酷さもきっちりと描いて見せたことで、『トイ・ストーリー』は観客の心にグサリと刺さる作品になったのです。
子どもたちはオモチャが大好き。でも、新しい別のオモチャを手に入れると、すぐそちらに夢中になってしまいます。また、子どもたちは日々成長していき、やがてはオモチャで遊ばなくなってしまいます。アンディの成長を見守るウッディたちは、「いつかは自分たちも不要品扱いされるかもしれない」という恐怖心を抱きながら、毎日を過ごしているのです。
具体的な恐怖シーンとして記憶されているのが、アンディ家の隣りに住む悪童シドの登場場面です。オモチャを大切に扱うアンディと違い、シドはオモチャをバラバラに分解し、ロケット花火をくくり付けて爆発させるのが大好きです。シドの部屋には分解されたオモチャたちの首や胴体が別々なものと繋ぎ合わされ、ホラー映画の世界そのものとなっていました。
また、自分はスペースレンジャーだと思い込んでいるアクションフィギュアのバズがテレビCMを見て、自分が大量生産された玩具に過ぎないことに気づくシーンも、強烈なインパクトがありました。カズオ・イシグロのSF小説『わたしを離さないで』の主人公たちが、自分らはクローン人間だと気づいたときも、きっと同じような衝撃を受けたことでしょう。