昔は喫煙ヒーローも活躍! それが今では…特撮作品の「タバコ描写」約50年の変化
2019年7月1日から一部施行された「改正健康増進法」によって、これまで以上に禁煙の空気が世の中に広がっていくでしょう。映像作品は時代の流れを映す鏡。特撮作品のなかで「タバコ」の描写がどう変わったかを見ていきます。
人物のアウトロー側面を「タバコ」で表現

健康意識の高まりや受動喫煙の防止、あいつぐタバコの値上げなどから、日本人の喫煙率は年々減少しています。さらに、2019年7月1日から「改正健康増進法」が一部施行され、役所や学校、病院といった施設の屋内では完全に禁煙となりました。
このような時代の流れから、映像作品のなかで「タバコを吸う」描写はしだいに姿を消していっています。とりわけ特撮作品の主な視聴者層は子供たちですので、喫煙描写は一般作品以上に自主規制の対象となっているようです。特撮作品におけるタバコの描写は、どのように変わってきたのでしょうか。
特撮作品に登場するヒーローに求められるイメージは、今も昔も明るく爽やかな「健全性」です。そのため、ヒーロー自身が喫煙する描写はほとんど見られません。
このようなヒーロー像を逆手にとったのが『鳥人戦隊ジェットマン』(1991~1992)のブラックコンドル/結城凱です。凱はタバコを吸うのはもちろん、ギャンブルもすれば酒も呑むアウトローなキャラクターでした。『ジェットマン』から20年後、凱は『海賊戦隊ゴーカイジャー』(2011~2012)の第28話「翼は永遠に」にゲスト出演していますが、バーでお酒に少し口をつける描写があったものの、タバコを吸う描写はありませんでした。
敵キャラクターでタバコを愛好しているのが『未来戦隊タイムレンジャー』(2000~2001)に登場したロンダーズファミリーのドン・ドルネロです。ドルネロはマフィアの首領らしく葉巻を吸っています。しかし、『タイムレンジャー』以降は敵組織の首領といえどもタバコや葉巻を吸う描写はなくなっていきます。
その一方でお酒をたしなむ悪の首領は意外といるようで、『侍戦隊シンケンジャー』(2009~2010)の血祭ドウコクや『動物戦隊ジュウオウジャー』(2016~2017)のジニスらには飲酒の描写があります。
また、ゴジラシリーズに目を向けると『ゴジラVSビオランテ』(1989)の権藤吾郎、『ゴジラVSスペースゴジラ』(1995)に登場するGフォースの少佐・結城晃が喫煙者です。2人とも、ゴジラに果敢に挑むアウトローな男たちでした。
以上で紹介したように、かつての特撮作品では、登場人物の性格描写、とりわけアウトロー性を表現するのにタバコを用いていたことがわかります。