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『なつぞら』の未来であり「ジブリ」の原点。『ホルスの大冒険』を知るとドラマは更に面白い?

アニメ製作会社を舞台としたNHK連続テレビ小説『なつぞら』では、高畑勲監督や宮崎駿監督の若き日を彷彿させる個性的メンバーが、主人公・なつと一緒に新しいアニメづくりに情熱を燃やします。彼らが近い将来制作することになる長編アニメ『太陽の王子 ホルスの大冒険』(1968年)は、スタジオジブリの原点ともいうべき作品。そこに集った才能と作品の魅力を知れば、『なつぞら』がさらに面白くなること間違いなしです。

「なつ」のモデル・奥山さんも情熱注いだ、高畑&宮崎コンビの代表作

『太陽の王子 ホルスの大冒険』(画像:アニメフィルムフェスティバル東京実行委員会)
『太陽の王子 ホルスの大冒険』(画像:アニメフィルムフェスティバル東京実行委員会)

 広瀬すず主演のNHK連続テレビ小説『なつぞら』が盛り上がっています。主人公・奥原なつ(広瀬)が黎明期にあった国産アニメーションの製作現場へと飛び込み、アニメーターとして、ひとりの女性として成長していく姿が描かれています。

『なつぞら』でアニメーションの時代考証を担当しているのが小田部羊一氏。高畑勲監督や宮崎駿監督らとともに「東映動画(現・東映アニメーション)」や「ズイヨー映像(後の日本アニメーション)」で活躍した伝説のアニメーターです。

 そして、『なつぞら』の主人公・なつの人物造形に大きな影響を与えているのは、小田部氏の伴侶だった奥山玲子さんです。奥山さんは2007年に亡くなられましたが、東映動画時代やその後も、なつと同様にさまざまな作品に参加しています。

 また『なつぞら』で、中川大志演じる理論派の演出家「坂場」は高畑監督、そして染谷将太演じるアイデアマンの後輩アニメーター「神地」は宮崎監督がモデルのようです。

 後に「スタジオジブリ」を立ち上げることになる高畑&宮崎コンビ、そして小田部&奥山夫婦らが若き情熱を注いだのが、1968年に劇場公開された『太陽の王子 ホルスの大冒険』でした。製作期間3年、製作費1億3000万円と、当時としては異例の大作アニメとして完成したのです。

 遠い昔々の北国を舞台にした『ホルスの大冒険』はこんな物語です。大自然の中で少年ホルスはたくましく育ちますが、唯一の家族だった父親が亡くなります。ホルスは父親の遺言に従い、仲間を求めて旅へ出ます。

 旅先で悪魔グルンワルドの手先である怪魚を倒したホルスは、村人たちから歓迎されることに。やがて、ホルスはヒルダという謎めいた少女と出会うのですが、そこからは子ども向けのアニメ作品とは思えないほど、意外な展開を見せていくことになります。

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