【漫画】神社で一度だけ見た「キツネの神様」を探す女の子、狸に出会い? 結末に「泣くしかない」
神社で「キツネの神様」を一度だけ見たことがある女の子は、それからいつもお参りをするようになりました。今日もお参りをしていると、淡い光を放つ狸が現れ……。Twitterで公開されたイノメ洞窟さんのマンガが「素敵」「泣いた」と反響を集めています。
キツネの神様が姿を消した理由は? 心温まる物語に涙
![一度だけ見た、キツネの神様とは?(イノメ洞窟さん提供)](https://magmix.jp/wp-content/uploads/2023/05/230517-onoaru-01-300x200.jpg)
神社で「キツネの神様」を一度だけ見たことがある女の子は、それからいつもお参りをするようになりました。蛍のように優しく光っていた美しいキツネの神様を思いながら今日もお参りをしていると、淡い光を放つ狸が現れ……。
イノメ洞窟さん( @electra0117 )による創作マンガ『尾のある神様』がTwitterで公開されました。地域の人びとを守ろうとする、情深いキツネと狸の姿が描かれた物語に、読者から「素敵なお話」「ほっこりした」「もう泣くしかない」「心が浄化されていく」などの声があがり、Twitter投稿には1.3万リツイート、4.3万いいねの反響が集まっています。
作者のイノメ洞窟さんに、お話を聞きました。
ーーイノメ洞窟さんがマンガを描き始めたきっかけを教えて下さい。
子供の頃から絵を描くことは好きでしたが、コマを割ってマンガらしい形態のものを描くようになったのは大学生の頃です。頭のなかで考えている物語、妄想、ちょっとしたエピソードなどを出力する手段のひとつとして、多忙な学業の息抜きに始めました。
大学院修了後にコロナ禍が始まり、突然時間ができたので、ようやく技術的なことを少しずつ考えながら描くようになりました。
ーー『尾のある神様』のお話はどのように生まれたのでしょうか?
2年程前、なりゆきで某編集部の担当さんがついた頃に描いたネームです。きっかけは思い出せないのですが、朽ちかけたような小さな祠(ほこら)や稲荷神社を見かけて構想を練っていた気がします。
ーー狐や狸、主人公の女の子がみんな魅力的なキャラクターで惹き込まれました。キャラクター作りやお話の展開で工夫なさった点。心がけた点などを教えて下さい。
ありがとうございます。いわゆる昔話などで、人外のものを見たり触れたりした者が、何かの出来事を契機にその後二度とそれらと出会うことはなかった、という結末は多いですよね。『雪女』、『鶴の恩返し』、宮沢賢治の『どんぐりと山猫』なども似通ったパターンかもしれません。この世ならざるものとの一時の邂逅(かいこう・巡り会い)は、どこか物悲しさを伴いつつ、趣ある締めくくりだと思います。
ただ、それではあまりに寂しい、何度でも会いに行けたらいいのにと子供の頃から感じていた節も少なからずあり、『尾のある神様』は主人公がその後も神様たちと時折遊びに行くような関係を続けていくお話にしました。彼女が約束を守り続ける限り、二匹は何度でも彼女の前に姿を現すでしょう。生真面目な女性なので、老婆になっても相変わらず彼らと庭で焼き芋でもしているかもしれませんね。
![狸が涙で語ったキツネの話とは?(イノメ洞窟さん提供)](https://magmix.jp/wp-content/uploads/2023/05/230517-onoaru-02-300x249.jpg)
ーーたくさんの感想が寄せられています。特に印象に残った読者の声について、教えて下さい。
ありがたいことです。今作は元担当さんには評価されませんでしたし、商業でオリジナル作品を描くことに懲りたきっかけの作品でもあります。自分でも何が良いのか分からなくなりお蔵入りしていましたが、データ削除前に何となくSNSに上げてみて良かったです。
ネーム状態の非常に粗い絵にも関わらず、「泣いた」「ハッピーエンドで良かった」「ほっこりした」と本当にたくさんの方がお言葉を寄せて下さいました。それを見てようやく、拙いながらもこの話を紡いで良かったと思い始めましたので、読んで下さった皆様には感謝してやみません。
ーー今後の創作活動について教えて下さい。
ご縁あって、何かと絵を描く機会を頂戴するようになり恐縮するばかりです。もともと漫画家志望ではなく、自分のためだけに描いていたものをこうして他の皆さんにも読んでいただけるというのは本当にありがたいことです。たまたま良い時代に行き当たり、運や偶然が導いてくれた環境ですね。理解ある家族や友人、仕事仲間に恵まれ、心から感謝しています。
線を引くこと、物語を紡ぐことが好きですし、日本や諸外国の神話、昔話、伝承、文化、伝統芸能など興味は尽きません。趣味としてか、はたまたお仕事としてかは分かりませんが、今後も気ままに筆を取り、自分の好きなものたちを描いていこうと思います。この度はありがとうございました。
(マグミクス編集部)