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アニメ『推しの子』で賛否が分かれるワケ 「理解できない」部分こそ「見るべき」?

アニメ『推しの子』はまだまだ先がある

アニメ『推しの子』劇場先行上映の告知ビジュアルでは、アクアとルビーを育てる母親らしいアイの姿が描かれた (C)赤坂アカ×横槍メンゴ/集英社・【推しの子】製作委員会
アニメ『推しの子』劇場先行上映の告知ビジュアルでは、アクアとルビーを育てる母親らしいアイの姿が描かれた (C)赤坂アカ×横槍メンゴ/集英社・【推しの子】製作委員会

 アイを妊娠させた相手が誰なのか、殺したのは誰なのか。原作ではすでに登場していますが、今回のアニメ化でどこまでの情報が公開されるのかはまだわかりません。少なくとも、アニメの序盤で判断を下すにはあまりにも惜しい作品なのです。

 近年はアニメの放送数があまりにも多く、1話で見るのを止める「1話切り」をする方も存在しています。実際問題として話題作や期待作を見るだけでもひと苦労という方も多いでしょう。

 序盤での視聴中断を防ぐため、『推しの子』の制作陣はさまざまな工夫を施しています。劇場公開というマーケティング面の理由もあるでしょうが、1話を最も「キリがいいシーンを入れるため」90分スケールにしたのもその一環でしょう。率直にいって、3話にあのシーンがあったら『推しの子』をアイが主人公のアイドル作品だと考えていた視聴者が激烈な反応を見せる可能性が高いと思われます。

 かつて『魔法少女まどか☆マギカ』では、3話で先輩魔法少女の巴マミが戦死するショッキングな場面がありましたが、これは脚本家が殺伐とした作風に定評があった虚淵玄氏だったことから「やっぱりな!」という意見も多数見られ、話題にはなりましたが問題とはなりませんでした。

 しかし、『まどマギ』から12年経った現代では、Twitterを始めとするSNSの普及が大きく進み、作者や制作スタッフと視聴者の距離が著しく近くなっています。クリエイターはある程度否定的な意見が出ることは覚悟しているものですが、あまりに多いと心を病みがちです。しかも『推しの子』のようなミステリー作品は情報をミスリードさせる展開も多いため、誤解した状態や情報不足の状態で否定的な意見を出されても、反論できないというジレンマもあるのです。

 アニメ『推しの子』にはまだまだ先があります。今はただ、当代一流のクリエイターたちがどんなものを見せてくれるのかを、楽しみに待つ段階ではないでしょうか。

(ゆうむら)

※アニメ『推しの子』は、TOKYO MX、テレビ北海道、テレ玉、チバテレ、テレビ愛知、サンテレビ、TVQ九州放送、BS11などで毎週水曜日深夜に放送中。Amazonプライムビデオ、ABEMA、dアニメストア、Hulu、DMM TVなど各配信サービスでも視聴できます。

【画像】芸能界の「闇」で関わり合う? アニメ『推しの子』の登場人物たち(8枚)

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