「りぼん」世代にとっての「りぼん」は何だったのか? 少女マンガ芸人が激白
誰もが自分の「好き」を思い出せる場所
今まで好きになった人を思い返し、「そうだ私はどこか羽山の影を追っていたのか」と電気が走ったかのようなショックを覚えました。
驚いたのは、そのことを「ひええ」の瞬間まで忘れていたということです。
「りぼん」という雑誌は私の生活に当たり前のように溶け込み、無意識に生活に反映されていました。マンガ雑誌という側面だけでなく、ファッション雑誌であり、恋愛指南書であり、学校案内であり、ニュースサイトであり、生活全般のマナーブックであり、夢の世界へ連れて行ってくれる絵本でもありました。
勝気な性格の主人公に、真っ赤なりぼんと喋れる大好きなぬいぐるみが与えられ、日常に魔法が使えるあこがれを示してくれた水沢めぐみ先生の『姫ちゃんのリボン』。
2組の夫婦のトレード再婚により、口の悪いイケメンと一つ屋根の下で暮らす…少女漫画の絶対的要素を最高峰にまとめあげてくれた吉住渉先生の『ママレードボーイ』。
新設高校の第1期生徒会メンバー。歴史なんてない。全ての始まりは自分たちから。熱意が込められた青春の輝きを教えてくれた矢沢あい先生の『天使なんかじゃない』。
そしてこの時期には、さくらももこ先生と岡田あーみん先生の2大天才ギャグ漫画家が共存しており……。自分を形成してくれた宝の倉庫です。
そして今回の特別展では、今はもう手に入らない、懐かしの「ふろく」たちも展示されています。「りぼん」世代の皆さんが特別展を見れば、「そうだ!私は気になるアイツとの真ん中バースデーをいつも考えていた!」と、思い出すのではないでしょうか。
久しぶりにマンガを手に取ったり、当時の自分がお小遣いを握りしめていた手の感覚を思い出したり、「応募者全員大サービスの切手送ったよね」と友達と話してみたり。
そして2019年、現在の『りぼん』にもそっと手を出してみるのも、また違った感覚で自分の「好き」を思い出すきっかけになると思います。
「りぼん」は、自分の「好き」を思い出せる場所なのです。
(別冊なかむらりょうこ)