『ドラクエ』「中世ファンタジー」なのに、何でスロットマシンある? 時代錯誤な設定たち
中世(風)ファンタジー世界の金字塔である名作RPG「ドラゴンクエスト」シリーズ。しかし、実際の歴史と比べてみるとシリーズを通しておなじみの要素が意外に中世発祥のものではなかったりします。そうした要素をしっかりとファンタジーとしてなじませる「ドラクエ」の手腕を再確認しましょう。
名作を振り返るとともに、ちょっとだけ歴史のお勉強!?

“中世(風)ファンタジー世界”の金字塔といって差し支えない名作RPG「ドラゴンクエスト」シリーズ。今日における多くの剣と魔法のファンタジー作品の土台には、本作の影響が何かしらあることでしょう。しかし、「ドラクエ」シリーズを彩ってきた施設や乗り物には、中世どころか近・現代発祥のものも多く見られたりします。そんな要素を少し振り返ってみましょう。
●スロットマシンのようでもあった「ふくびき」
記念すべきシリーズ1作目『ドラゴンクエスト』のヒットを受けて1987年に発売された『ドラゴンクエストII 悪霊の神々』では、お遊び要素のひとつとして「ふくびき」が登場しました。
道具屋で買い物をしていると店主から「(日頃の)感謝の気持ちをこめて」ふくびきけんをもらえる様子は、ファンタジーというよりも「昭和当時の商店街の一風景」のようなものを感じさせます。肝心のふくびきは「回転する3つのリールを任意のタイミングで止め、絵柄がそろえば景品をもらえる」というもので、スロットマシンのようでした。
また、ペルポイの町では65000ゴールドという法外な価格設定の防具「ミンクのコート」が販売されており、こちらは中世どころか完全に現代ネタでした。「ふっかつのじゅもん」を入力してゲームを再開するたびに復活するじごくのつかいを倒していかずちの杖を何本も入手し、それを売って購入資金にあてた人も多いのではないでしょうか。
●バニーガールは高級クラブの衣装が元ネタ!
『II』の翌年となる1988年に発売された『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』では、主人公や仲間キャラクターに職業の概念が登場。ひと際目を引くのは「あそびにん」の姿でした。男性キャラはピエロ、女性キャラはバニーガールそのままのルックスだったのです。
道化師としてのピエロは現実の中世にも存在しましたが、問題(?)はバニーガール。現実ではアメリカの高級クラブ「プレイボーイクラブ」の給仕衣装として世に出たのが初とされており、それは1960年のことだそうです。中世どころか最近すぎる……! あそびにんという名前通りに、堀井氏の”遊び心”が存分に込められた職業でした。
また、本作には町や村に水をかけられるジョークアイテム「みずでっぽう」が登場しました。現実においては、伐採した竹を筒として水をピストン状に押し出して射出する水鉄砲が江戸時代からあったようで、1600年代の俳句に水鉄砲という単語が使われています。中世というには微妙な時代かもしれませんが「意外と歴史があるな…」という感じもしませんか?