『ガンダム』なぜ可変モビルスーツは廃れた? 「高コスト」だけではない意外な理由
アニメ『機動戦士Zガンダム』より、ガンダムシリーズに「変形」モビルスーツが登場するようになりました。『Z』と続編『機動戦士ガンダムZZ』に多数登場する可変機ですが、『逆襲のシャア』以降は、それほど登場していません。なぜ廃れたのでしょうか。
可変機を必要とする軍隊とは
アニメ『機動戦士Zガンダム』は、ガンダムシリーズで初めて「変形するモビルスーツ=可変機」が登場する作品です。
第10話でライバルでありラスボスでもある、パプテマス・シロッコが自ら開発した可変機・メッサーラで、主人公カミーユが搭乗するガンダムMK-IIや、シャアが搭乗する百式を圧倒します。メッサーラの大きさ自体が頭頂高23mと、頭頂高18.5mのガンダムMK-IIよりも一回り大きく、その高性能ぶりも含めて非常に存在感がありました。
メッサーラは一般に試作可変モビルアーマーに分類される機体ではありますが、人型に変形して、ビームサーベルで格闘戦を行えるなど「モビルスーツ」としての性能も高く、最初期の可変モビルスーツと捉えても問題は少ないでしょう。
宇宙世紀0087年が舞台の『Z』にはそれ以降、アッシマー、ギャプラン、サイコガンダム、サイコガンダムMK-II、ガブスレイ、バウンド・ドック、ガザC、メタス、Zガンダムと、続々と可変機が登場しています。
数が多すぎるので、アニメ化された作品だけを取り上げますが、続編『機動戦士ガンダムZZ』でも、変形だけでなく、機体各部が変形合体するZZガンダムが主役機になるなど、可変機の活躍が印象的でした。
宇宙世紀0092年を舞台とした『機動戦士ムーンガンダム』にも、シータプラス、リガズィード、ガザG、メドゥッサ、サイコバウといった可変機が登場します。
しかし、宇宙世紀0093年の『逆襲のシャア』では、リ・ガズィが変形機構を簡略化したバックウェポンシステムを備えているくらいで、他のモビルスーツは変形しなくなります。
宇宙世紀0096年の『機動戦士ガンダムUC』には、リゼル、ロト、Zプラス、デルタプラス、ガザDが登場しますが、『機動戦士ガンダムNT』(0097年)と『閃光のハサウェイ』(0105年)には新規可変機は登場せず、『機動戦士ガンダムF91』(0123年)も、過去の遺物であるガンタンクR-44に変形機構が備わるのみです。
しかし、宇宙世紀0153年の『機動戦士Vガンダム』で、主役機VガンダムとV2ガンダム、ザンスカール帝国もゾロ、トムリアット、アビゴル、ガルグイユ、ドムットリアと、多種多様な可変機が登場するようになります。