転職の「落とし穴」伝えるマンガ 「息子にも伝えたい」転職エージェント語る
「転職でいちばんしてはいけない事」や「転職の覚悟をどう決めるか」などは、転職を考える人にとって切実な問題です。転職に悩む若い世代に焦点をあててマンガで解説した『マンガでわかる 成功する転職』の著者、森本千賀子さんにお話を聞きました。
転職するかどうかの覚悟を決めるには?
転職エージェントとして活動する森本千賀子さんが、転職のノウハウをマンガで解説する書籍『マンガでわかる 成功する転職』(池田書店)を2019年7月5日(金)に発売しました。森本さんは、転職エージェントの活動を中心に、転職支援サービスや企業の採用支援など幅広いビジネスを行う「採用」のエキスパートです。
マンガでは、「転職」という明日にでも我が身に起こるかもしれない重要イベントについて、経験の比較的少ない若い世代の目線でストーリーが進みます。時折登場するアドバイザーがやや厳し目に「転職のNG」を指摘し、転職者から意外と見えにくい重要なポイントに焦点をあてています。
「転職で悩める人」に向けてマンガで発信する理由について、森本さんは次のように話します。
「きっかけは、高校1年生の息子に読んでほしいと思ったことです。特に今の20代は活字離れが著しいため、マンガであれば若い世代の方々にも抵抗なく読んでもらえると考えたのです」(森本さん)
マンガに登場する男女2人は、どちらも転職活動に行き詰まりを感じている若手社員。目の前の問題をとりあえず「転職」で解決しようとしています。しかし、森本さんは作中で「転職のデメリットにも目を向けるべき」と釘をさします。
「それだけのリスクを取ってでも転職する、という覚悟が必要なのです。もし覚悟が決まらず迷っているのであれば、まずは現在の職場で不満要素を改善できる方法はないか探ってみたり、あらゆる可能性を考えたうえで、『やはり現在の職場では無理だ』と結論に至れば、おのずと覚悟は決まるはずです」(森本さん)
また、面接では今まで仕事で経験してきたことや、得られたスキルをアピールしがちですが、それらに加えて、入社後に取り組みたい自分の意思をしっかり伝えることも大事だと、森本さんは話します。
「最近の転職市場では、“完成されている人”よりも、いかに“伸びしろ”があるか、ポテンシャル的要素を特に重視する企業が多いのです。だからこそ、Will(何がしたいのか)とCan(何ができるのか)、そしてそこに加えてMust(その組織がもとめているもの)といった自己分析が大事ですね」(森本さん)
森本さんが強調するのは、転職活動にあたって「後悔しない」こと。「転職自体は手段であり、ゴールではありません。真の目的は何か、自身にとってのWill(意思)実現に向けて転職が最適なのかどうかの判断が大事です」と話しています。
(川崎晴代)