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親も先生も人ごとでない「ゲーム障害」の怖さ 「幅広い連携で対処を」と専門家

WHO(世界保健機関)が2019年5月に疾病分類のひとつと認定した「ゲーム障害」は、新たな依存症のひとつとして注目を集めています。特に若い世代や子供の患者が増えていることから、医療機関だけでなく、家族や学校など身の回りの関係者も対処が必要になってくるといいます。杏林大学名誉教授で精神科医の古賀良彦さんに話を聞きました。

問題はゲームから離れられなくなる「社会的・心理的条件」

夜中にゲームに熱中する若者のイメージ (C)gstockstudio/123RF
夜中にゲームに熱中する若者のイメージ (C)gstockstudio/123RF

 ゲームに依存し生活に支障をきたしてしまう「ゲーム障害」が、2019年5月にWHO(世界保健機関)によって国際疾病分類のひとつに加えられ、注目を集めています。日本国内でも、ゲーム障害は特に若い世代や子供の間に広がっていることから、その対策は緊急の課題となっています。

 厚生労働省の調査では、ゲーム障害を含むインターネット依存症の疑いのある中高生は、2012年度では推計52万人だったのが、2017年度にはは93万人と倍増しています。ゲーム障害の研究や治療には、依存症の専門機関である国立病院機構・久里浜医療センター(神奈川県横須賀市)などが中心となって取り組んでいますが、「幅広い連携で対処すべき」という指摘もあります。

 そもそも、WHOが「ゲーム障害」を認定したことで、どのような影響があるでしょうか。幅広い連携が必要なのはなぜでしょうか。杏林大学名誉教授で精神科医の古賀良彦さんに聞きました。

ーーそもそも、WHOが新たな「疾患」を認定した場合、医療機関はどのような対応をするのでしょうか?

古賀良彦さん(以下敬称略) 日本の医療機関は、WHOの国際疾病分類に準拠した分類表にもとづいて診療の記録をしています。患者の病名も、その分類表に基づいてカルテに記載されているのです。今回「ゲーム障害」がこの中に加わり、きちんと病気として定義されました。いずれは保険適用の対象となっていくでしょう。

ーーWHOはゲーム障害について、「ゲームをしたい欲求を抑えられない」「ゲームをすることを他の日常生活の活動よりも優先してしまう」などの基準を盛り込んでいます。他の依存症とは、どのような点が異なるのでしょうか?

古賀 一般的に、他の依存症よりも「対処が難しい」といわれています。薬物やアルコールなどと違って、ゲームは社会的にその存在が認められているものですし、子供でも手に入れやすい。入り口の敷居が低いため、小学生でも依存してしまう可能性があります。「入りやすく、抜け出しにくい、そして本人も『抜けなくていい』と思ってしまう」という難しさを、治療の現場にいる関係者からよく聞きます。

【図】どんな状態が「ゲーム障害」なのか? その定義をおさらい(4枚)

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