「ととのった」「ラリってる」漫画が広めたサウナ表現、「布教」はさらに加速する?
世の中は空前のサウナブーム。2019年7月から実写ドラマが放送開始した人気マンガ『サ道』もそのブームを大きく後押ししています。ブームに引っ張られるようにしてサウナユーザーの中には”布教者”が続出。マンガによってたちまち広がった「ととのった」、「ラリってる」といった表現には、健康法でありながら中毒性をあわせ持つサウナの特徴が表れています。
あなたの周りにも増えている? 熱心な"サウナ布教者"

タナカカツキ氏によるマンガ『サ道』がテレビ東京で実写ドラマ化され、ヤマハ発動機はサウナマンガとバイクツーリングを掛け合わせたプロモーションサイト「ととのったMAGAZINE」を開設するなど、マンガとサウナの融合がますます加速。昨今のサウナブームを強力に後押ししています。
ブームの影響か、熱心な”サウナ布教者”が、あなたの周りにも急増しているのではないでしょうか?
「サウナ」と「水風呂」の往復についてはさまざまな健康効果の指摘がありますが、サウナによってもたらされる多幸感を『サ道』では「ととのった」と表現。その恍惚状態を他人にも体感してほしいという欲求は、実際にサウナに心酔してしまった人にとって抑えられない衝動でもあるようです。
サウナ好きの筆者の実感でもありますが、サウナのヘビーユーザーの間では、水風呂の「温度」やサウナの「天井の高さ」、また高温サウナで風を送る「熱波師の腕」といった施設に関する情報がさかんに交換され、オススメのサウナが次々と「巡礼スポット」のように紹介されているのです。
『ととのった』、『ラリってる』 巧みなトランス表現

また、サウナを題材としたマンガや映像作品には、ある種の宗教体験のような表現が多いことに注目できます。
『サ道』で「ととのった」シーンは、サイケデリックで幻覚的な描写が特徴的です。そのシーンだけ見ると何か”ヤバい奴”のようにも見えてきます。
また、アルコール中毒体験のエッセイマンガ『アル中ワンダーランド』を描いた、まんしゅうきつこ氏は、アルコール中毒からの脱出にはサウナの影響が大きかったことを述べています。同氏はマンガ作品のなかで、サウナで陶酔することを『サウナでラリる』と表現しています。
マンガや映像はあくまでフィクションとして楽しむものですが、それらの刺激的な表現や言い回しは、他人にも布教をしてしまいたくなるほどのサウナの「中毒性」を巧みに表現しています。マンガから広く発信されたそれらの言葉は、まだサウナトランスを体験していない人を、サウナの世界に誘うキーワードといえるでしょう。
(マグミクス編集部)