観て、語り、そして忘れない。「京アニ」が支えた『赤い光弾ジリオン』の奇跡
人生を変えた『ジリオン』との出会い
中学生だった筆者が『ジリオン』と出会ったのは、ある日曜日でした。
何の気なしにテレビを見ていた筆者は、作中の主人公チーム「ホワイトナッツ」の3人が光線銃「ジリオン」を手にバイクで疾走し、次々と敵をやっつける躍動感あふれるオープニングに目を奪われました。
特に目を引いたのが、ヒロインのアップルです。銃一丁で巨大な敵に立ち向かい、攻撃をかわして赤い光弾を叩き込むその姿は強烈な印象を残しました。
また、彼女のコスチュームは大きく胸元が開いており、思春期の少年としてはそちらの方が大分気になっていたことを今ここで告白します。
余談ですが、アップルのCVを担当した水谷優子さん(2016年他界)は、『ジリオン』で監督を務めた西久保瑞穂氏と結婚しています。もしかしたら『ジリオン』が結び付けた縁なのかもしれません。
その後、筆者は『ジリオン』をきっかけにアニメにのめりこみました。アニメグッズを買うようになったのも、アニメを録画して何度も繰り返し見るようになったのも、レーザーディスクが高くて買えずに悔しがったのも(後に購入しました)、すべて『ジリオン』が最初です。
もしあの日に『ジリオン』を見ていなければ、今のようにライターとして活動することもなかったでしょう。当時は気づいていませんでしたが、京都アニメーションというスタジオの作品に人生を左右されるほどの大きな影響を受けていたのです。
おそらく筆者のように京都アニメーションの作品で人生が変わった人、人生を救われた人は、世界中にたくさんいるはずです。
『Air』、『涼宮ハルヒの憂鬱』、『Kanon』、『らき☆すた』、『CLANNAD』、『けいおん』、『氷菓』、『響け!ユーフォニアム』『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』など、京都アニメーションが世に送り出した傑作は枚挙に暇がありません。
観て、語り、そして忘れない。それが京都アニメーションへの敬意であり、復活への祈りであると、筆者は固く信じています。
(早川清一朗)