【もはや文化】90年代を席巻した『セーラームーン』の凄さ 少女マンガ芸人が解説
1990年代にマンガとアニメの両方で社会現象を巻き起こした『美少女戦士セーラームーン』。2019年に入り、さらに多くのファン層へと新しい話題を届け続けています。少女マンガの枠を超越した同作品の凄さとは、何だったのでしょうか。
2019年もあいつぐビッグニュース

1992年に少女マンガ誌に登場した『美少女戦士セーラームーン』は、2019年の現在もなお、少女マンガ史上もっとも大きな広がりを見せ続けています。世界中のファンを惹きつけてやまない同作品の魅力について、少女マンガに詳しい、別冊なかむらりょうこさん(ワタナベエンターテインメント所属)が解説します。
* * *
2012年の20周年プロジェクト、2017年の25周年プロジェクトを機に、初のファンクラブが設立されるなど、新たな企画を次々と展開している『美少女戦士セーラームーン』ですが、2019年の今年も大きなニュースがあいついでいます。
先日の6月30日、主人公・月野うさぎちゃんの誕生日に、武内直子先生原作版アニメとして大きく話題になった『美少女戦士セーラームーンCrystal』の第4期「デッド・ムーン編」が、劇場版『美少女戦士セーラームーン Eternal』として2020年に前後編で公開されることが決定しました。
また、7月より待望の電子書籍が発売され、また世界10言語でも配信されることが発表され、主要電子書店にていつでもどこでも『美少女戦士セーラームーン 完全版』全10巻を手に取ることができるようになりました。
連載期間わずか5年。
その期間と同時期にテレビアニメも放映され、またたく間に90年代の社会現象となった『美少女戦士セーラームーン』。今も輝きを失わず、唯一無二の人気を誇る、同作品の魅力とはなんなのでしょうか。

ドジで泣き虫、勉強も苦手な中学2年生、月野うさぎのもとに黒猫・ルナが現れ、うさぎは選ばれた「セーラー戦士」であることを告げます。託された変身ブローチに「ムーンプリズムパワーメイクアップ」と叫ぶと、うさぎはセーラームーンに変身するのです。
仲間のセーラー戦士との出会い、プリンセス探し、タキシード仮面である地場衛との恋愛を経て、幻の銀水晶を求め、地球で悪事を働くダーク・キングダムの妖魔たちを次々と倒していくなかで、うさぎは前世から未来まで逃れられない運命を思い出していく……。
マンガ版とアニメ版はどちらも同じ期間で5シーズン描かれたのですが、キャラクターの設定や、進み方が少し異なります。原作マンガの主軸は、前世からの宿命とうさぎと衛の恋愛であり、アニメはセーラー戦士たちの友情と日常シーンの描写が主で、アニメオリジナルの要素も多く存在します。
しかし、『セーラームーン』の凄いところは、どちらも甲乙が付けられない最高の作品に仕上がっているところ。
当時の小学生には少し大人っぽかったマンガを、アニメではポップに仕立て、初期の単行本の最終巻には、『大人になったらもう一度読んでみてください』と、当時の担当編集者さんの素敵な言葉が添えられています。
友情も、愛も、運命も。『セーラームーン』から伝えられた数々のメッセージは、さまざまな方向から私たちをくすぐり続けました。