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【あしたのジョー】梶原一騎作品のヒーローたちが「燃え尽きて終わる」のはなぜ?

主人公たちの「生き様」は現代へのメッセージ

『巨人の星』『あしたのジョー』『タイガーマスク』の連載開始から50周年を記念した切手フレームセットが2017年に発売された (画像:ワキプリントピア)
『巨人の星』『あしたのジョー』『タイガーマスク』の連載開始から50周年を記念した切手フレームセットが2017年に発売された (画像:ワキプリントピア)

「生きるか死ぬか」の出来事が当たり前だった時代の空気感をそのまま色濃く残すヒーローだからこそ、「燃え尽き」の結末につながっていると筆者は考えますが、今の時代で「命がけ」や「根性」という概念は、ともすれば通用しないのかもしれません。『巨人の星』での星一徹の子育てや家庭での態度を今の時代で「是」とすれば、きっと世間がザワつくことでしょう。

 もちろん、暴力はいけませんが、梶原作品に描かれた「根性」や「命をかける」生き様は、「一度きりの自分の人生を、懸命に生きよ」といったメッセージを現代に投げかけている気がします。

 ちなみに、全盛期の梶原一騎氏は平均睡眠時間3~4時間、『巨人の星』と『あしたのジョー』を同時期に連載していたため、もうひとつ「高森朝雄」のペンネームを使っていたのは多くの人が知るところです。

 1980年代に急速に普及したビデオゲームにおいて、ゲームオーバーになった時点からゲームを再開できる「コンティニュー」の概念が広まりました。このことは、マンガ作品などで一度死んだキャラクターが「蘇る」ストーリー展開にも影響を与えているのではないかと筆者は考えています。

 あくまで私見ですが、死者があっさり蘇ってしまう展開には「命の重さ」があまり感じられず、むろん「燃え尽き」ようがありません。その昔のインベーダーゲームでさえ、「コンティニュー」はなく、自機を全て失えば「最初からやり直し」でした。ただ、お小遣いの100円玉をゲーム機に投入し、スコアを伸ばして少しでも長くプレイしようとする努力は、当時の小学生にとっては「命がけ」だったかも知れません。

 この原稿を書かせていただいている2019年8月、日本は74回目の終戦記念日を迎えます。そうした時期に「燃え尽き」、「命をかけた」梶原一騎作品のヒーローたちに、心をめぐらせてみる良い機会かもしれません。

(渡辺まこと)

【画像】わかっていても胸を打たれる! 『あしたのジョー』の「燃え尽き」シーン(6枚)

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